「ゲンちゃん」こと時松隆光がプロを招いてトークをする連載「わかった! なんて言えません」。今週からのゲストは、5月の「ジャパンプレーヤーズ選手権」でプロ入り4戦目で初優勝した注目の若手、片岡尚之プロ。片岡プロが時松プロにどうしても聞きたかったこととは?

ホスト／時松隆光

1993年生まれ、福岡県出身。ツアー通算3勝。プロ10年目。テンフィンガーグリップで戦う。愛称は“ゲンちゃん

ご指名／片岡尚之

1997年生まれ、北海道出身。14年の日本ジュニアで北海道の選手として初めて優勝。東北福祉大4年時にプロ転向。今年、プロ入り4戦目で初優勝!

時松　もう2カ月以上経ちましたけど、初優勝して何か変わりましたか。

片岡　すごく変わりました。優勝した大会の冠特別協賛のサトウ食品さんから優勝した翌々日くらいに連絡を頂いて、その後、スポンサー契約をさせていただきました!

時松　それは、なかなかないことですよね。

片岡　はい。すごくありがたかったですね。

時松　優勝の副賞が「サトウのごはん」1年分だったじゃない。あれは全部自分で食べるの？

片岡　いやいや（笑）。全部で4000食分いただいたんですけど、3000食は、学生たちがコロナの影響で外食ができないということなので、母校の東北福祉大学に贈らせていただきました。残りの1000食は、父方と母方の両方の祖父母の家に500食ずつ送りました。

時松　なるほど。

片岡　時松さんをはじめ選手会の役員の方々には、あの試合では開催の実現までにいろいろ動いていただき、本当に感謝しています。

時松　いえいえ。第1回の大会の優勝者が新人の爽やかなイケメンということで話題性もあって、よかったです（笑）。

片岡　実は僕、時松さんと一度、日本オープンの予選会で一緒に回らせていただいているんですけど、覚えていますか。

時松　え、どこのコース？

片岡　総武だったと思います。

時松　ああ、秋吉（翔太）さんが1位だったときでしょ。

片岡　そうです。たしか時松さんも66、68とかで通過して、こんなに上手い人いるんだって思っていました。

時松　いや、予選会に出ている時点でちょっと怪しい（笑）。

片岡　全然、曲がらないので、驚きました。パッティングでも取りこぼしがなくて、すごいなと。

時松　何か、話した?

片岡　いえ。しゃべれなかったんですけど、見て勉強させてもらっていました。

時松　話しづらかったのかな。

片岡　日本オープンの予選会なのでアマチュアの僕が話しかけてもなあ、と思っていたし、僕自身もギリギリのラインで必死でしたから。それに寡黙な感じで、そのときは、寄せ付けないオーラが出ていて怖かったというか。

時松　いやいや。俺を怖いと言ったらツアーの全員が怖くなっちゃうでしょ（笑）。

片岡　その時は聞けなかったことなんですけど、今、聞いてもいいですか。

時松　何だろう。

片岡　見ていて、常にスウィングが安定しているのがすごいなって思っていて。自分は調子の波がすごくあるので、どうしたら安定させられるのか知りたいんですけれど。

時松　安定していないと思うけどね（笑）。

片岡　いえ。僕からしたら安定の塊です。どうしたらあんなに曲がらないのか聞きたいです。

時松　それは飛ばないからよ。300ヤード飛ぶ人が曲がると林にいくところを、僕は270ヤードだから曲がっても手前のラフまでしかいかないというだけだから。どうして曲がらないかなんて、俺が稲森（佑貴）に聞きたいくらい（笑）。

片岡　そうですね。僕もいろんな人に聞きたいんです。植竹（勇太）くんも曲がらないし。

「大学のときは、すごく振れていたんですけど、最近は怖くて全然振れなくて、するとやっぱり曲がります」（片岡）「ちゅうちょせず振るのが大事だよね」（時松）

時松　植竹くんとか見ていると、置きにいっていないもんね。高いボールでパーンと打ってくる。稲森もそうだけど、フィニッシュで「あー」とか言ったり、手を放したりとか絶対にしないし、ちゅうちょせずに振るからいつもフィニッシュがピタッと決まっている。やっぱり、ちゅうちょしたり、球を置きにいったりすると曲がるんじゃないかな。

片岡　はい。最近、それはすごく感じます。チーピン持ちなので、怖くて左を向いて逃がすような感じで打つこともあって。実は優勝した試合でもそういうゴルフをしていたんです。時松さんは怖くなること、ありませんか。

時松　それは、あります。

片岡　そういうときって、どうするんですか。

時松　どうもしないです。

片岡　自分を信じて打つだけですか。

時松　そう。どうにもできないからね。できることといったら、構えたらできるだけ早く打つということくらいでしょ。打つ前にゆっくり時間をかけると、考えすぎてしまうから、悪いイメージとか過去のマイナスのこととかが出てきて必ず悪い結果になる。だって、このホールでバーディとった、とかはあまり覚えていないけど、OB打った、ということは何年経っても覚えているよね。

片岡　はい。フラッシュバックしますね。だから僕も悪い方向に考えが向かないように、ココに打つと決めたらサッと打つようにはしていますね。

時松　構えに入ったら、もうそれくらいしかできないからね。

週刊ゴルフダイジェスト2021年7月27日号より