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練習でいつも“偶数番手だけ”打ってませんか? 本番に強くなるには「全番手5球ずつ」が正解です

TEXT/Yumiko Shigetomi PHOTO/Tadashi Anezaki、Yasuo Masuda ILLUST/Hideki Kamekawa THANKS/美浦GC、横浜本牧インドアゴルフ練習場

週に1度の練習。ただ漫然と、いつも同じ番手を打っていませんか? 「練習場では調子がいいのに、コースへ行くと上手くいかない」という人は、その練習法に原因があるのかも。理論派プロコーチ・井上透氏に、“本番に強くなる”練習法を教えてもらった。

解説/井上透

20人の契約プロを抱えながら、東大ゴルフ部監督や世界ジュニア日本代表監督も務める人気プロコーチ。True Golf academy主宰。横浜出身の48歳

「いつも同じ番手」派は要注意
全番手5球ずつ打ってみよう

アマチュアの練習といえば、例えば「偶数の番手だけ打つ」というようにいつも決まったクラブをなんとなく打つ人が多い。井上コーチはその練習法に問題があると言う。

「同じクラブを練習していると、当然そのクラブしか上手くなりません。偶数の番手しか打たない人は、コースで9番や7番などの奇数の番手を持ったときに当たるか不安になって、実際にミスをしてしまう。要は偏った練習によって苦手クラブを作ってしまっているんです」

では、全部のクラブを練習しないといけないのだろうか? それは大変な気もするが……。「まずはSWから全部のクラブを5球ずつ打ってください。13本×5で計65球打ち終わったら、あとはそのなかでミスの多かったクラブを練習すればいいんです。この練習なら苦手なクラブがなくなって、満遍なく上達できますよ」

もし全部のクラブでミスが出てしまったら……?「厳しいことを言うようですが、そういう人は球を打ち込むレベルに達していません。あとで紹介する素振りをやって、スウィングの基礎を固めてください」

スウィングの基礎は球を打ちながら固められないのだろうか。「球を打つとなるとどうしてもアジャストする動きが入ってしまうので、本当の基礎の部分は素振りで作るべきなんです。それに皆さん、練習場でスウィングのことを考えすぎなんです。スウィングばかり考えていて“球を打つ”ということに集中していない。週に1回くらいしか練習に行けないなら、なおさら考えすぎは禁物なんです」

例えばハーフスウィングで打つ練習などは、基礎を作るには良い?

「ハーフスウィングばかりやっているとハーフスウィングしか上手くなりませんよ。片手打ちなども、いろんな練習をやるなかでのひとつならいいけど、“それだけやれば上手くなる”というようなことはありえないんです」

【練習の真実1】
決まったクラブしか打たないと
それしか上手くならない

ドライバーばかり打つ人はドライバーしか上手くならないし、偶数の番手しか打たない人は奇数の番手が苦手になってしまう。最初に全部のクラブを打ってミスの多かったクラブを練習すれば、苦手クラブがなくなっていく

【練習の真実2】
「〇〇さえやれば上手くなる」
という魔法の練習法はない

たとえばハーフスウィングがいいと聞いてそればかりやっていると、ハーフスウィングは上手くなるけど振り切れないスウィングになってしまう。片手打ちも同様で、いろいろな練習をするうちのひとつとして取り組むべき

【練習の真実3】
“目的”と“手段”を混同しないこと

「いいアドレスからしかいいショットは生まれない」と言われて、いいアドレスを一生懸命作っている人が多い。でもアドレスはあくまで“手段”であって“目的”ではないことを理解する

打点チェック
ミスの原因を探る

5球ずつ打ったなかでミスが多かったクラブを練習するということだが、どんな練習をすればいいのだろうか?

「まずそのミスがどんなミスだったのかをジャッジすることです。アマチュアの人はミスの原因をスウィングに求めがちで、この動きが悪かったんじゃないかとか動画を撮ってチェックしたりしますよね。でもそれでは“スウィングの粗探し”をしているだけで、ミスの本当の原因がわからなくなるんです」

ミスの原因を知るには?

「フェースのどこに当たったミスだったのかを判断することが肝心です。トップやダフリは誰でも感触でわかると思いますが、トウやヒールのミスはプロでもわからない人もいるから、契約選手たちにはショットマーカー(打点チェックのシール)をフェースに貼って打たせています」

“チーム井上”の必需品

フェースに貼って球を打つと打痕が浮き出るシール。ドライバー用、アイアン用、フェアウェイウッド用もある。自分のミスの傾向がわかるようになる

打点の傾向がわかったら、それに応じた練習をするといい。

「ダフリやトップはそれぞれに原因があるし、トウやヒールに当たる人にもその原因があってそれぞれに対処法がある。それをやって今度は芯のエリアに当たるかを確認するのが、本当に上手くなる練習なんです」

トウ&ヒールヒットの原因

【トウに当たる原因】
上体の伸び上がり

クラブがスティープ(鋭角)に下りてくるタイプで、インパクトで上体が起き上がりトウダウンすると、トウ側に当たりやすい

【ヒールに当たる原因】
フラット軌道のインサイドアウト

フラット軌道のインサイドアウトの人は手元が体から離れていくのでヒール側に当たりやすい。このタイプの人は、後述の素振りも効果的

<対処法>ボール位置を大胆に変える

ダフリ&トップの原因

【ダフリの原因】
右体重でリリースが早い

体重が右に残ったまま打ったり、アーリーリリース、さらに極端なインサイドアウトもダフリの原因

【トップの原因】
上体の突っ込み or 伸び上がり

上体が突っ込むタイプはトップが出やすいが、アマチュアの場合は少数派。もともとダフリが多いために、それを嫌がって伸び上がり、トップするパターンが多い

<対処法>素振りでマットを擦る

ダフリが多い人は、マットの右側にヘッドが落ちやすいので、マットのセンターよりも左側を素振りで擦る練習をしてから打つ。上体が突っ込むことが原因でトップが出る人は、センター付近を擦るように振る

3ステップ素振りで基礎作り

全クラブでミスが出る人、打点のミスの原因が明らかにスウィングにあるような人は、球を打たずに素振りで基礎を磨こう。

STEP 1
鏡に写して軌道をチェック

極端なアウトサイドイン軌道など、動きが悪いままで素振りをすると“下手を固める”ことになってしまう。まずは鏡の前でスウィングしてみて、クラブの軌道やフェース向きなどを確認。正面から見て頭の位置が動きすぎていないかもチェックしよう

STEP 2
頭にタオルをのせて連続素振り

頭にタオルを置いてハーフスウィングの連続素振りを数回繰り返し、最後にしっかりとフルスウィングしてフィニッシュでタオルを落とす。クラブを持たないシャドースウィングでもOK

STEP 3
空中素振りから徐々にヘッドを下げる

スウィングの形が整って頭もブレずに振れるようになったら、実際に球を打つつもりでマットをこする素振りで仕上げる。最初は地上10センチくらいのところを振って、徐々に前傾を深くしながらヘッドを下げていって最後にマットをこすれれば合格

月刊ゴルフダイジェスト2021年8月号より