【笑顔のレシピ】Vol.83 ナヨナヨしてた子が1日1000球打てるようになった理由
TEXT/SHOTANOW
メジャーチャンプ・渋野日向子を育てた青木翔が“コーチング”のこだわりを語る連載「笑顔のレシピ」。ゴルフだけでなく、仕事や育児などでも役立つヒントが満載!
男の子を持つ親御さんから時おり、「息子がナヨナヨしている」「頼りなく感じる」という相談を受けます。そう言われた本人と接していると、たしかに自分の意見をはっきり言えなかったり、準備をするのに時間がかかったりということが多い。
毎日、本人と一緒にいる親御さんは、「ちゃんとやれ」とか「ビシッとしろ」と声をかけがちですが、残念ながらそのメッセージは伝わりません。なぜなら、子どもたちは本人なりに「ちゃんと」しているつもりだし、「ちゃんと」というのが人によって基準がまちまちなので、具体的にどうしていいのか分からないからです。
そう言われている子どもたちの気持ちが、よーくわかります。なぜなら僕自身が、小学生のころはナヨナヨした子どもだったからです。当時は僕なりにちゃんとしているつもりでしたが、振り返るとたしかにちょっと頼りなかったかなと思います。
そんな自分も20歳を迎えるころには、ゴルフという心血を注ぎこめるものを見つけ、自らに1日1000球の打ち込みを課すようないっぱしの青年になることができました。
頼りなかった青木少年を変えたのは、ズバリ環境です。
ナヨナヨしていた僕は中学から片道1時間半をかけ通学することになったのです。よく知らない場所の、よく知らない人だらけの環境で揉まれまくったことで、僕は徐々に変わっていきました。
性別を超えてさまざまなことが叶えられるようになってきているいま、男の子だからしっかりするべき、女の子はおしとやかになどと言うつもりは毛頭ありません。子どもであっても一人の人間。価値観の押しつけは、可能性にフタをすることになってしまいます。ただ、自覚や責任感のように人が教えにくいものは、環境が教えてくれるということもあります。
漠然とした言葉で成長を促すより、新たな場にチャレンジすることでグンと成長するということもあるのです。
青木翔
あおきしょう。1983年生まれ。福岡県出身。渋野日向子をメジャーチャンプに導き、三ヶ島かななどツアープロや、全国トップレベルのジュニアゴルファーの育成に努めている
週刊ゴルフダイジェスト2021年6月29日号より