【キミこそ王子だ】Vol.250 背筋で自然なアッパー軌道を作る日本人離れした美スウィンガー
雑巾王子こと武市悦宏プロが、全国の有望なジュニアゴルファーのもとを訪れ、大人ゴルファーにも役に立つゴルフのヒントを探る当連載。今回の王子候補は兵庫県出身、滝川第二高等学校2年、黒田裕稀くんだ。中学時代から優秀な成績を収めている黒田くん。強さの秘訣は、徹底したデータ主義。武市が詳しく解説する。
今回の王子候補
黒田 裕稀くん
●主な戦歴/2019日本ジュニア選手権12~14歳の部3位タイ ●ベストスコア/64(有馬ロイヤルGCロイヤルコース) ●練習/ほぼ毎日2時間弱(150球以内) ●トレーニング/主に縄跳び。冬は砂浜でランニング
父親の勧めで、3歳からゴルフを始めた黒田くん。住んでいた地域はジュニアゴルファーが少なく、切磋琢磨するような相手がいなかった。そのため、自分の定めた目標に向け、ひとりでコツコツと努力してきた。技術的なことはもちろんだが、将来、海外で活躍することを見据え、英語も勉強した。
そんな彼が選んだ高校が、全国屈指のゴルフ強豪校で、部員も大勢いる滝川第二高等学校。
「団体戦に出てみたかったんです。ゴルフは個人競技だけど、みんなで作戦を立てたり、協力しあって勝利することに憧れます」と裕稀くん。高2の現在、部内でもエース的存在だ。
「ずっと、取材したかったんだ。やっと会えて嬉しい」と武市が伝えると、「ありがとうございます」と笑顔で答えてくれた裕稀くん。
さっそく、練習場でスウィングを見せてもらった。
「しなやかさのなかに軸がしっかりとあるいいスウィングだね。インサイドアッパーなスウィングで、PGAの選手っぽい」と感心する武市。
飛距離も280ヤードほどと申し分ない。
日ごろ、どんな練習をしているかたずねると、積極的に弾道計測器「トラックマン」を取り入れていると答えてくれた。裕稀くんが特に重要視しているのは「バックスピン量」と「入射角」とのこと。
ことあるごとにトラックマンで計測し、その数値を基にコーチとスウィングを構築しているのだとか。
その結果、スウィングは頭を動かさず、軸を保つことが重要だと学んだ裕稀くん。理想の動きのために、毎日ストレッチと縄跳びで、柔軟性と体幹を鍛えていることも明かしてくれた。
それを聞き武市は次のように解説した。
「飛ばすには、アッパーブローは理想。PGA選手はアッパーブローが多いよね。ただ、当たり前だけど、一朝一夕ではまねできない。
普通は、スウィング軸を保とうとすると、腹筋を意識してしまうので、ダウンブローになりがち。それもあって、多くのアマチュアは腕でクラブをすくい上げてしまうんだよね。その点、裕稀くんは背筋を使って上手にアッパー軌道へと導いている。ここがスバラシイ! 入射角もほどよく緩やかできれいな高弾道が実現できている。大きな筋肉を使っているから、スウィングも力強くてしなやかに見える。腕やお腹と違って、身体の後ろ側の筋肉だから意識しにくいけど、手打ちにならない。一度マスターすると、安定した動きができるのもいいよね。なんか、ほんと外国人選手っぽくてカッコいいスウィングだよ」
「ありがとうございます!」
「ところで、団体戦はどうだった?」
「今年の夏の全国大会で団体戦と個人戦とW優勝狙います!」と力強く宣言してくれた。
裕稀くんの実力なら、夢ではない。吉報を待っている!
週刊ゴルフダイジェスト2021年6月15日号より