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【人気連載アーカイブ】イザワの法則2015「ヘッドの大型化で変わったこと」

世界も認めた美スウィンガー・伊澤利光が、ゴルフで大切にしていることを語る連載「イザワの法則」。今回のお話は、ヘッドの大型化に伴うスウィングの変化について。

ILLUST/Koichi Tanaka

前回のお話はこちら

昔のプロは遠くから見ても誰だかわかったよね

GD 過去2回(2001、2003年)の賞金王に輝き、多くのツアープロがベストスウィンガーに挙げていた伊澤プロ。早速ですが、伊澤プロは現在、ツアーの最前線からは一歩退いた形でゴルフと関わっているように見えますが、ツアーに完全復帰する意識はいかがでしょう?(※2015年当時)

伊澤 復帰の気持ちはゼロではないですが……。そのためにはまず、ドライバーを何とかしないとダメでしょうね(笑) やっぱり私はスチールシャフトにパーシモンヘッドという組み合わせでゴルフを覚えた世代ですからね。メタル時代までは何とか対応できましたけど、チタン時代になって、ヘッドの体積が300ccを超えるあたりから、ちょっと道具とスウィングが合わなくなっちゃって……。

GD 確かに、ツアーのデータを見ると、2度目の賞金王になった2003年のドライバー平均飛距離が295ヤードを超えているのに、その後ヘッド体積が460cc時代に向かう過程で、平均飛距離が伸びていかなかったようです。

伊澤 飛距離はともかく、フェアウェイに飛ばなくなったのが痛かったですね。ヘッドが400ccとか460ccとかになると、重心距離がものすごく長くなって、振るタイミングとか、インパクトのフィーリングが、それまでとは全然変わってしまうんですね。私はどちらかというと、インパクトに向かって、プワッとヘッドを急加速させるタイプのスウィングなんで、大きいヘッドとは特に相性が悪いんです。タイガー・ウッズも、大きいヘッドのドライバーに上手く移行できずに、もう長いこと苦しんでいますよね。タイプとしては、私もあれと同じなんです。

GD タイガーは、ドライバーのミスがほぼ右へのプッシュアウトですね。460ccで、ヘッドターンが「鈍感」になったぶん、タイガーの鋭いヘッド加速についてこられないと。

伊澤 そうですね。その点でいうと、今のジュニアの世代とかは、最初から460ccでゴルフを覚えられるから、すごくいいですよね。

GD クラブの性能を、100%生かしてプレーできるということになります。

伊澤 ええ、ただ、それでスウィングの個性がなくなってきているというのは、少し面白くないかなと思います。今の若手のプロは、遠くからスウィングを見ただけだと、誰だかわからないからです。私らの世代は、個性的なスウィングのプロがたくさんいましたからね。アドレスとか、テークバックを見れば大体、誰だかわかるくらいに(笑)。

GD 今みたいに、スウィングが画一化してくると、例えば体の大きさとか、いわゆる「地力」の差が出やすくなる気がします。

伊澤 確かに、飛距離というのは、どちらかというと生まれ持った才能だと思います。飛ぶ人というのは最初から飛ぶ。私も飛距離ではそんなに苦労しなかったほうですが、大きいヘッドはとにかく球筋が思い通りにならなかった。それなら、「思い切り振るな」と思うかもしれませんよね。でも、軽く振ったって、曲がる人は曲がるでしょ?(笑)

460ccを打ちこなすポイント1
グリップは支えるだけ

「アマチュアはとにかくグリップを強く握りすぎ」と伊澤。ヘッドを上にして持って、ずり落ちない最低限の強さで握るのが正解

460ccを打ちこなすポイント2
ドライバーはやや右足体重で構える

パーシモン時代も現在も、テークバックの動きはあまり変わっていない。大型ヘッドドライバーは、最初から少し右足に多く体重をかけておくと、トップまでスムーズに

460ccを打ちこなすポイント3
右太ももの前でインパクト

スチールシャフトを力ずくでしならせるような動きは、今のクラブには必要ない。トップから、あまり左に動かず、右足の上でくるっと回るイメージでいい

伊澤利光

1968年生まれ。神奈川県出身。学生時代から頭角を現し、プロ入りしてからは、プロも憧れる美しいスウィングの持ち主として活躍。2001年、2003年と2度の賞金王に輝く。また、2001年、マスターズで日本人最高位(当時)の4位入賞。現在はシニアツアーを中心に活躍中

月刊ゴルフダイジェスト2015年2月号より