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【プレジデンツカップまであと100日】モータースポーツ界から転身“熱狂をデザインする”異色プロデューサーを直撃!

開催まであと100日前後となった2026年プレジデンツカップ(9月24日~27日)で最後責任者を務めるのは、モータースポーツの聖地・デイトナなどで手腕を振るい、ゴルフ界へ転身した異色プロデューサー、ジョイ・チットウッドⅢ氏。カーレースで培った“熱狂をデザインする”ノウハウは、プレジデンツカップにどんな変化をもたらすか? シカゴの名門・メダイナCCで行われる今大会への展望を聞いた。

PHOTO/Shin Kishioka、Getty Images

Joie Chitwood Ⅲ(ジョイ・チットウッド3世)

1971年米国フロリダ州出身。レーサーやスタントマンを輩出するモータースポーツ一家に生まれ、インディアナポリスやデイトナ・スピードウェイ社長として活躍後、アーノルド・パーマー・グループ副社長としてゴルフ界へ。2026年プレジデンツカップのエグゼクティブディレクターを務める

カーレースとゴルフの意外な共通点

GD あなたはデイトナやインディアナポリスといったモータースポーツの聖地でキャリアを築いてこられました。「エキサイトメント(興奮)をデザインする」という自身の経験を、ゴルフに生かそうと考えたきっかけは何だったのでしょう? また、その「デザイン」は、今回のプレジデンツカップにどのように反映されるのか興味があります。

ジョイ・チットウッドⅢ(以下 ジョイ) 私がデイトナ・インターナショナル・スピードウェイの社長を務めていた頃、PGAツアーの関係者と繋がりがあり、情報交換をしていました。私がザ・プレーヤーズ・チャンピオンシップを訪れ、当時のディレクターだったマット・ラップ氏に付いて回り、「これはなぜこうなのか? どうやってこれを実現したのか?」と質問攻めしたことがありました。その後、マットもデイトナの私を訪ねて、同じような機会がありました。

その時、ゴルフとレースのビジネスがとても似ていることに気づいたのです。両者ともホームチームやアウェイがなく、全国各地でスケジュールが組まれ、アスリートたちは実質的に「独立した個人事業主」として活動しています。その時点で、ゴルフとレースの親和性を確信しました。当時は、まさか自分のキャリアをゴルフ界で終えるとは思っていませんでしたが(笑)、このフォーマットや環境にはとても馴染みがあるんです。

PGAツアーとレース業界に共通する重要な役割は、「最高の舞台を整える」ことです。競技者たちが、私たち観戦者が夢見るようなパフォーマンスを発揮できるようにすること。私の仕事は、この会場やコース、そしてすべての環境を整え、競技者が最高レベルのパフォーマンスを発揮できるようにすることです。

2014年のデイトナ500で優勝したD・アンハートJrを祝福するジョイ・チットウッドⅢ氏

興奮を創り出すルート変更

GD 2026年のプレジデンツカップに向けて、特に準備している特別な仕掛けなどはありますか? 例えば、ファンの体験を最大化するためのコース改造やルーティング(ホール順)の変更をしたと聞きました。

ジョイ シカゴのメダイナCCは、2012年ライダーカップでの」メダイナの奇跡(※)」を含め、過去に数多くの素晴らしい大会が開催された特別な場所。まずは、メダイナCCに最大の賛辞を送りたいです。彼らは創立百周年を祝うべく、舞台となる“No.3コース”で2500万ドル(約39億円)規模の改修を完了させました。

土台から完全に造り直したコースは、米国選抜vs世界選抜という熱戦をホストするのに相応しい、信じられないほど高品質なチャンピオンシップコースに仕上がっています。

ルーティングの変更については、誤解のないように明確にしておきたいのですが、本来の18ホールはどれも素晴らしいホールです。しかし、マッチプレー形式の性質上、終盤の16・17・18番へ行く前に勝敗が決してしまう可能性があります。

そこで、それらのホールをマッチの早い段階に組み込むべく、本来の16・17・18番を、今大会では“12・13・14番”としてプレーするよう変えたのです。勝敗を左右するポテンシャルを持ったホールを確実にプレーに組み込むため。これも「興奮を創り出す」要素の一つです。

※メダイナの奇跡……2012年メダイナCC開催のライダーカップ(米国選抜vs欧州選抜)で起きた逆転劇。米国の圧倒的優勢で迎えた最終日の12試合を、欧州が8勝1敗3分けで大逆転、「Miracle at Medinah」と言われた

16番パー4=大会12番。池に沿ってフェアウェイが斜めに続く難ホール

17番パー3=大会13番。210ヤード以上で、グリーンは面が見えない場所があるほどうねる

GD プレジデンツカップは、普段の個人競技が「チームの誇り」へと変わる大会です。多国籍な世界選抜チームが、ひとつにまとまったエネルギーを、日本のファンにどのように伝えたいですか?

ジョイ 数年前、キャプテンを務めたアーニー・エルスが世界選抜チームに強い団結力を生み出すことに注力し、“シールド(盾)”のロゴを作りました。今や世界選抜のクラシックなロゴとなり、チームメンバーが日本、韓国、オーストラリア、アフリカ、カナダのどこから来ていようと、全員がこの盾の下に集まり、国境を越えて世界選抜チームが団結する大きな要素となっています。米国選抜の“星条旗”と、世界選抜の“盾”を比較し、私たちはこれを「旗(Flag)対 盾(Shield)」と呼びますが、プレジデンツカップの対抗図らしい表現だと感じています。

<プレジデンツカップとは?>
ゴルフのチーム対抗戦は、米国選抜と欧州選抜のライダーカップが有名だが、その開催と交互に2年周期で行うのがプレジデンツカップ。ライダーカップに出場できない、欧州以外の多国籍選手で構成される世界選抜(インターナショナル)が米国選抜と戦う、もう一つの世界最高峰団体戦。

メジャーと違う「チーム対抗戦
4大メジャーとは異なり、米国選抜12名と世界選抜12名による、チーム対抗のマッチプレーで争う。ペア戦のフォーボールとフォーサム、最終日のシングルスなど全30マッチを行い、勝利1、引き分け0.5の合計ポイントで勝負が決まる。賞金はない

②米国優勢の歴史と日本人の活躍
1994年創設以来、通算で米国が13勝1敗1分けと圧倒。世界選抜唯一の勝利は1998年大会で、丸山茂樹が5戦全勝と大活躍。過去6回出場の松山英樹は通算7勝10敗5分

③旗(Flag)vs 盾(Shield)
米国選抜は星条旗、多国籍軍の世界選抜は、国境を越えた結束を示すシールド(盾)のロゴを掲げる。元キャプテンのアーニー・エルスがチーム結束のために考案。チットウッドⅢ氏が「旗 対 盾」と呼ぶ対抗図

世界選抜の大黒柱・松山英樹

GD 日本には多くのゴルフファンがいますが、プレジデンツカップの魅力はまだまだ広がる余地があります。近年、常に世界選抜に入っている松山英樹選手をどう見ていますか?

ジョイ ヒデキは世界選抜チームの「大黒柱」です。マスターズ優勝を含むPGAツアー11勝という素晴らしいキャリアを見れば、国際的なスポーツで日本を代表するアスリートのひとりです。日本中がヒデキを応援することを願っていますし、世界選抜チームが、彼に多くのポイントを期待していることも間違いありません。

GD 今大会は、「シカゴ・スタイル」を打ち出すと伺っています。地元の食文化や音楽など、ゴルフ観戦の体験にどのように組み込まれるのでしょうか?

ジョイ 30年以上の歴史を持つプレジデンツカップは、素晴らしいブランドです。ゴルフがとても盛んで、経済的にも大きな影響力を持つ“シカゴ”という市場に進出するにあたり、シカゴのスポーツファンが持つ熱量にしっかりと応えたいと考えています。地元のセレブリティ、地元のグルメ、さらにはコース上のネーミング(ファンゾーンやゲートの名前など)にもシカゴらしさを取り入れない手はありません。シカゴのネイバーフッドと結びつける予定です。会場を訪れる方々には、単なるプレジデンツカップではなく、「シカゴ・スタイルのプレジデンツカップ」だと感じていただけるはずです。

GD 今大会では、ホスピタリティ・パッケージが記録的なスピードで完売したと聞いています。VIPや企業のゲストはメダイナで、どのような「一生に一度のラグジュアリー体験」ができるとお考えですか?

ジョイ メダイナのクラブハウスは、世界中のカントリークラブの中でもユニークなもので、唯一無二の素晴らしい場所であり、その建築様式はとても荘厳です。このクラブハウスを、「1924クラブ」(メダイナ創立は1924年)の拠点とする予定です。これは最高級のプレミアムパッケージで、特別な飲食やエンターテインメント、そして15番ホールのグリーンを見下ろす展望デッキへのアクセスなどが含まれます。ゴルフトーナメントで最高級のプレミアムな体験を楽しみたい方にとって、クラブハウス内に設けられる「1924クラブ」は相応しい場所になるはずです。

会場のメダイナCCのクラブハウス。100年超の歴史を持つクラブのNo.3コースで開催

ギャラリーをもてなすホスピタリティスタンドが着工、開催準備が進む(撮影6月)

未来への遺産、キッズ・ポリシー

GD モータースポーツ界では若いファン層の拡大に成功しています。ゴルフにおいて若い世代を惹きつける新しい取り組みはありますか?

ジョイ この市場で私たちのイベントを説明する際、最も誇りに思っている1つは、スポーツ界でおそらく最も寛大な「キッズ・ポリシー」を設けたこと。チケットを購入した大人1名につき、15歳以下の子供は2名まで無料で同伴入場できます。若者が将来のスポーツ界を担うパイプラインになります。この若年層向けチケット・ポリシーは、他のスポーツビジネスにも、自信を持って通用できるものです。

GD 続いてキャプテンについてお聞きします。米国のブラント・スネデカーと、世界選抜のジェフ・オギルビー、両キャプテンが抱く情熱や期待についてどう感じていますか?

ジョイ オーストラリアのジェフ・オギルビーと、米国のブラント・スネデカーは、共に輝かしいキャリアと優勝実績を持ち、過去の大会でチームのアシスタントキャプテンを務めた経験があります。過去の喜びや傷跡を含めてチームの素晴らしいリーダーとなる豊かな経験が備わっています。

キャプテン就任が発表された時、彼らはシカゴの街から世界へ興奮とエネルギーを発信することを、すでに理解していました。大会が近づくにつれ、彼らが下す決断から“競争心”が透けて見えます。彼らがシカゴ市場のエネルギーを楽しんでいる姿を見ると同時に、彼らがここに来た理由はたった1つ、「プレジデンツカップで勝つこと」ということもはっきりと伝わってきます。

5番パー5=大会1番。左側に木製フェンス(越えるとOB)が延々と続くスタートホール

GD 次の質問は大会後のことについて。今回のプレジデンツカップが終わった後、シカゴ地域にどのようなレガシー(遺産)を残したいと考えていますか?

ジョイ 最もわかりやすい指標として、30年の歴史で、最大のプレジデンツカップを開催したいということ。これまでの準備を見る限り、それは実現されるはず。メディア報道、注目度、ホスピタリティの販売など、すべて順調です。そして重要なのは地域に永続的な印象を残し、大会を開催したコミュニティの人々がより良い生活を送れるようにすること。支援を必要とするメトロポリタン・ファミリー・サービスに多額の寄付を行ってきました。今大会を終えてシカゴを去る時、「素晴らしいイベントで、競技も最高だった」と言ってもらいたいですが、同時に、「PGAツアーが地域の生活にポジティブな変化をもたらした」という事実こそ、私たちが遺したい本当のレガシーです。

GD 最後の質問です。日本のファン、世界のファンが、プレジデンツカップを応援するためにシカゴへ来ることが予想されます。メダイナの敷地に足を踏み入れた瞬間、彼らに何を感じてもらいたいですか? 来場者に向けてメッセージをお願いします。

ジョイ 百年の歴史を持つ名門倶楽部を舞台とし、2022年のシャーロット大会(米国開催として最大動員)、2024年のモントリオール大会(国際開催として最大動員)の成功の上に、シカゴ大会を築き上げています。星の巡り合わせが完璧に揃っており、これまで創り上げてきた中で、最も特別なプレジデンツカップになるはず。最終的には、勝敗を決する結果をスコアボードに刻むだけです。ゴルフに興味がある方なら、自国を代表して戦う松山英樹選手が気になるなら、絶対にプレジデンツカップに来るべき、見るべきです。記憶に残る、一生に一度のイベントになります。6日間の大会期間中に、20万人以上の来場者を予想しています。繰り返しになりますが、「絶対に見逃せないイベント」であることをお約束します。

GD 完璧です。お時間をいただきありがとうございました。

ジョイ こちらこそありがとう。ではメダイナで!

B・スネデカーとJ・オギルビー両主将が率いる今大会。世界選抜12人の枠には、大黒柱の松山英樹だけでなく、世界ランク上位者として入る可能性のある久常涼、欧州ツアー初Vの金子駆大、PGAツアーでの今後の活躍次第で中島啓太、金谷拓実も選出の壇上に挙がるかもしれない。9月に開かれる今大会は、日本のファンにとっても特別な大会になりそうだ。

熱狂のプレジデンツカップ特別観戦ツアー開催決定!
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