森守洋「レッスンは受けるな」Vol.6 めだかクラブの奇跡その2 “竹に当てて折る”練習で目的・目標意識が自然に身に付いた
森守洋「レッスンは受けるな」
堀琴音、柏原明日架、香妻陣一朗ら多くのプロを指導する森守洋が、自身が行きついたゴルフスウィングの本質を語り尽くす。
PHOTO/ARAKISHIN
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- 堀琴音、柏原明日架、香妻陣一朗ら多くのプロを指導する森守洋が、自身が行きついたゴルフスウィングの本質を語り尽くす。 >>前回のお話はこちら File.5めだかクラブの奇跡その1 椅子に座って打つ練習にこそスウィングの大事が詰まっている 横峯良郎さんらが立ち上げた鹿児島の『めだかクラブ』というゴルフスクールがありま……
File.6
めだかクラブの奇跡その2
竹を折る練習法で
目的&目標意識が身に付いた
横峯良郎さんらが立ち上げた鹿児島のゴルフスクール『めだかクラブ』。 前回、そこで起きた奇跡のレッスンのひとつを紹介しましたが、今回は2つ目の奇跡のレッスンについてお話しします。
それは20ヤード先にある竹の棒に当てる練習方法です。ゴルフスウィングでもっとも大切なことは、棒を振る動作とフェース面を感じることですが、穴(ホール)に対してボールを飛ばして運ぶということが大前提になります。要は目的意識、目標意識が重要だということです。
この竹に当てる練習をしたことで、自然とボールの打ち出しとターゲットの意識が高まったというのが2つ目の奇跡です。実はこの竹に当てる練習は、フェース面の感覚をつかむためにとても効果的です。香妻陣一朗プロから聞いた話ですが、竹にボールを当てて折るまで帰れないって言っていました。子どもだから早く家に帰りたいですよね。めだかクラブでは、その日の練習の締めとしてやっていたようですから、そりゃ1発でも早く当てて帰りたいって思いますよね(笑)。
そこで子どもたちは考え、感じるわけです。フェース面が向いた方向にボールは飛んでいくんだと……。だからターゲットである竹に当てるためには、インパクトでフェース面を合わせなければならないって。子どもですからそんな難しいことは考えないでしょうけど、ゴルフスウィングで大切なことを体で勝手に覚えたわけです。目的や目標が明確になるとそれに対して体が自然に正しい動きになるのが人間の本能なので、それを子どもの頃から養えていたのです。
陣一朗プロは高校生のときにナショナルチームに入るほど上手かったわけですが、それはすべてクラブという棒を振る動作と面を感じる練習を『めだかクラブ』で習得していたからだと思います。多くのアマチュアゴルファーは、練習や経験を積むたびに何が目的なのか不鮮明になりがちです。それは正しいスウィングをすることが目的になってしまっているからです。でも『めだかクラブ』で育った子どもたちは、椅子に座ったままボールを打つ練習で棒振りを覚え、竹に当てる練習でフェースの面を感じることを覚えて、目標であるターゲット意識も身に付いた。
ゴルフのスウィングは棒を振る動作が安定して、面を自分で感じることができれば勝ちなんです。だから『めだかクラブ』には、完全なる原則を自主練で養える要素と環境がそろっていたと思います。
ゴルフには2つのターゲットがあると言われます。
1つは打ちたい場所を意味する本当のターゲット。もう1つはボールです。これが少しゴルフを難しくしているポイントなのです。
目的地に届かせるというターゲットが大事なのですが、ほとんどの人が“ボール”にターゲット意識を強く持ってしまいます。ボールをターゲットにする意識が強くなると「キレイに当たるかな~」「上手く当たらなかったらどうしよう~」という不安な気持ちなどが出現しやすいため、そもそももっとも大事な、棒というクラブを振ることができなくなってしまいます。でも『めだかクラブ』では、竹棒にボールを当てて折る練習をすることで、棒振りとフェース面の意識を自然な形で習得させていたわけです。『めだかクラブ』の練習法について、アンチな意見も多かったようですが、実はゴルフにおける何よりも大事なことを習得できるものだったのだと思います。
それは陣一朗プロや横峯さくらプロら、めだかクラブ出身のプロたちの成績を見ればわかりますよね。鹿児島の田舎町で起こったゴルフ界の奇跡だと思います。
約20ヤード先に刺さった竹棒を目がけてボールを当てて折る練習を行っていた『めだかクラブ』。写真は当時の香妻陣一朗


解説/森守洋
もり・もりひろ。1977年生まれ。静岡県出身。堀琴音、柏原明日架、香妻陣一朗ら多くのツアープロを指導。原理原則を謳い文句にゴルフスウィングの核心に迫る
週刊ゴルフダイジェスト2026年3月17日号より


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