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【岡本綾子 ゴルフの、ほんとう】Vol.894「悩みがあることは伸びる可能性があることだと思いませんか?」

米国人以外で初めて米女子ツアーの賞金女王となった日本女子ゴルフのレジェンド・岡本綾子が、読者からの質問に対して自身の経験をもとに答えていく。

TEXT/M.Matsumoto

>>前回のお話はこちら


上手くなるのには限界があると思うのですが、それを認めるのはツラいこと。ですが自分が納得するまで努力することが大事だとも思います。限界や目標はどのように定めればいいのでしょうか。(匿名希望・40歳)


まず最初に哀悼の意を表したいと思います。昨年12月23日、尾崎将司さんが亡くなりました。

日本ゴルフ史百二十有余年の中にあって最高最大のスター。その豪快さで多くのファンに愛されたジャンボ尾崎さんは、わたしから見れば変幻自在のボールコントロールを備えた「技術の人」でした。

ジャンボさんの凄さ、勝負強さや他にないキャラクターについてのエピソードはまた別の機会に譲るとして、心より卸冥福をお祈りしております。

さて今回の質問ですが、哲学的とも言えそうな難しい問題に出合ってしまいました(笑)。

ゴルファーはどこまで上達できるのか? どういうゴルフを目標にするべきか? 考えれば考えるほど答えが遠ざかっていくようにも思えます。

頭の隅に浮かんだのが、いま流行りのAIに尋ねてみてはということでした。編集部にお願いしてChatGPTに「ゴルフが上手くなるためにはどうすればいいか」と質問してもらったところ、即座に短い6章立ての回答が返ってきました。


最初に多くの初心者がプロのスウィングを真似るなど、形から入って遠回りをしていることを指摘。

練習の仕方として、ハーフスウィングをゆっくりやって、まずは「当てる」ことから始めよ。

フルスウィングは失敗が多くケガにもつながりかねないと忠告したうえで、クラブは振り回すものではなく正確に当てるものだと説いています。

そしてドライバーで飛ばしてもアプローチが下手だとスコアにならない。

最後に上手い人は「練習テーマを絞って」練習するが、下手な人は「何となく100球打つ」と返信が返ってきたそうです。これを読むと確かに簡潔にして単純、正しくて無駄のないアドバイスであることが分かります。

でも考えてみれば、コンピューターが収集した膨大なデータの中から質問に対して妥当であろうと思われる情報を選び出し、もっとも適した回答を出力しているのですから、ソツのない答えが返って来るのは不思議ではなく、単に反応が速いということでしょうか。

思えばここ数年AIが話題に上るようになりましたが、2025年は世の中が生成AIを一般的に使うようになった元年だったのかもしれません。

ありとあらゆる情報を学習して、そのデータの集積の中から人間に代わってみずから妥当な回答を想像して弾き出すAIが普通に存在する世の中になりました。

宇宙の根源に関する哲学的疑問や人間関係、恋愛関係にまつわる複雑で生々しい悩みまでも即答してくれますが、便利な時代になったと喜ぶべきかどうかは分かりません。

いまのところAIにゴルフスウィングの悩みを相談しても、簡潔な回答を示してくれはしても、右ひじをこう、手首をこうとまだ実際にやって見せてくれることはないみたいですね。

でも数年後にはお手本の動きを代行して披露するAIロボットが登場しているのかも。

このままいくと生身のゴルフコーチは要らなくなるのかもしれませんね、冗談抜きで。

AIにはまだ人間の感情の機微を理解するのは難しいようですが、情にもろい人に相談するよりむしろAIのほうが信用できることもあるだろうし、生身の人間だからこそ話し合いでムキになったりするケースもあり得ます。

世の中が世知辛く、人間関係がますますドライになっていく今後、AIに任せる部分が増える傾向は避けられないと思います。

それで情報処理の高速化、合理化が進むのは明らかで、コンピューターが今以上に精巧になり自分で自分の欠点を反省し過誤なく進化させていくことになるとすると、ますます人間の出番がなくなってしまうのではないかと心配にもなりますが、AIには知識や情報、事実関係だけを任せて、データ収集後の判断をするのはやはり人間の仕事だと思います。

ですから、目標に迷い限界を感じたりスウィングの課題に悩むのも楽しみのひとつと考えて、これからの時代と向き合っていくことが大切ではないでしょうか。

「進化にあらがわず認めて取り入れ利用する柔軟な思考は大切です」(PHOTO by Ayako Okamoto)

週刊ゴルフダイジェスト2026年2月3日号より