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【岡本綾子 ゴルフの、ほんとう】Vol.892「こだわりと神経質 この違いを考えてみました」

米国人以外で初めて米女子ツアーの賞金女王となった日本女子ゴルフのレジェンド・岡本綾子が、読者からの質問に対して自身の経験をもとに答えていく。

TEXT/M.Matsumoto 

>>前回のお話はこちら


パッティングでボールに描かれているラインを打ち出し方向に合わせるのに時間をかけたり、シャフトを人に触らせないなど細かいことに神経質なプロがいると聞きました。岡本さんもこだわる部分はありますか。(匿名希望・47歳・ベストスコア73)


以前ある選手の優勝パットの場面、すごく時間がかかってるな~と思ったら正確には計ってはいませんが1分以上はかかっていたことがありました。

何回も優勝経験もあり数打離れほぼ優勝が決まっていた1メートル以内のパットで固唾をのむという空気ではありませんでしたが、あのときは優勝パットとはいえ、さすがにスロープレーと言われても反論はできないだろうと考えさせられました。

ボールに入れたラインをパッティングラインに慎重に合わせてセットするルーティン。

パッティングの際、それに時間がかかる場面に出くわすことがあります。

往々にして、そういう選手のボールは、無数の線が入っていたり何色もあったりと賑やかなボールになっていることがありますよね⁉

私はいくつも線が入っているボールを使うのは苦手でして……。

誤球を避けるためのマークとして、ディンプルにサインペンで黒い点をつけることはありますが、それ以外にボールの表面をインクで汚すことはありませんでした。


引いたラインとパッティングラインを正確に合わせようとすると、どうしても時間がかってしまうし、あまりスマートではないので。

もしラインを合わせることがこだわりというなら、それによりプレーが遅くなることのほうに気を使うべきだと思います。

これは余談ですが、ほんとうのことを言うとわたし、ファンの方々へボールにサインするのも好きではないのです。

ともかくプロは自分が使うボールやクラブに関してこだわりを持っています。クラブを人に触られるのを嫌うのは、ほとんどのプロがそうではないかしら。

クラブは神聖で大切な相方のような存在だから、これは神経質とは異なるものだと思います。

確かに、こだわりは人によってさまざまで、ある人にとっては重大な要素でも隣の人にはまったく気にならないことであったりもします。

だから自分のこだわりを理解してほしい、という気持ちもありますが度が行き過ぎるとそれは神経質になってしまいます。

これ以外にも私が気になる行為として、アイアンやウェッジでのショット前の行為があります。

素振りすると、クラブフェースに芝なり水滴が付くことがあります。それをグローブをした左手で拭っているシーンです。これはどうしても理解できません。

ショット前にグローブでフェースを拭ったら、グローブが土や水滴で微妙に湿るし、なんとなくショットに影響が出るような気がしませんか?

それが神経質といわれたらそれまでですが、これはこだわりというか私にとっては当たり前のことだと思っています。

ちなみに、この考えと同じ人がいて、その人は右手の人さし指でサッとフェースを拭いたら、その手は自分のズボンの尻で拭いてショットするそうです(笑)。私はタオルで拭きますけどね(笑)。

こだわりは十人十色であって七癖とはよく言ったものです。人には譲れないこだわりがあります。

ただし周囲に迷惑をかける習癖はこだわりではありません。

ゴルフは観察力、判断力、想像力を総動員するスポーツで同伴競技者に気を配るマナーを欠いてはなりません。

人それぞれこだわりを持つことは大いに結構なことですが、人に気を使ってプレーすることはお忘れなきように。

「大らかな気持ちを持ちつつこだわれば神経質にはならないと思いますよ!」(PHOTO by AYAKO OKAMOTO)

週刊ゴルフダイジェスト2026年1月20日号より