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【ゴルフはつづくよどこまでも】Vol.254「僕が33歳で日本OPに勝ったときは、“若い選手の優勝”と言われていたものです」

高松志門の一番弟子として、感性を重んじるゴルフで長く活躍を続ける奥田靖己。今週もゴルフの奥深い世界へと足を踏み入れていく。

>>前回のお話はこちら

今年のツアーは男子も女子も初優勝が多かったようです。時代背景でいうたら、僕らの時代は先輩の威圧感がすごくて、ポッと出の新人に対して「お前はまだ“歩兵”やろ」という無言の圧力を感じさせる空気があったんです。

それをはねのけて抜け出したもんだけが上に来て、試合で何回か上位になったことが自信になって優勝につながるいうパターンでしたから時間がかかったけど、今の選手らはその流れが早いですよね。ツアーに初参戦して2年くらい経つともう「オレはできる」みたいな自信を持てます。


その理由としたらまず、今の若い選手には、「あいつがイケるなら、オレもイケる」というメンタルいうか、そういう相乗効果がありますよね。

ジュニアからゴルフをやってる選手が多いから、学生時代にプロの試合に出てきたりしても自分とあまり変わらない若いプロが多いいうこともあるし、プロと自分の球を比べてみて、「なんや自分とあまり変わらんな」とかいうことを、じかに感じるわけやないですか。

それがプレーヤーとして大きなことで、「この人とやったら勝てそうや」とか、そういったことを生で感じることが大事なんです。

僕らの時代で若くして優勝したんは倉本(昌弘)さんでしたね。型破りで、アマチュアのときから自分はちょっとしたプロよりも上という感覚を持っていました。だからツアーに行ってもジャンボ(尾崎)さんと回ろうが青木(功)さんと回ろうが、圧倒されないものを持っていました。

自分が優越感を持ってゲームができる技術を既に持っていましたからね。「取りこぼさんかったら勝てる」くらいに思うてやっているわけですから、そら強いです。だから学生時代にプロの試合で優勝することもできたわけです。

その倉本さんのアマチュア優勝の記録を塗り替えたんが石川遼くんですけど、彼の優勝以降に今のような若い子らがツアーで早くから活躍する流れができたように思います。

僕が1993年に日本オープンで優勝したときは33歳ですが、当時は若い選手の優勝と言われていました。2022年の日本オープンチャンピオンの蟬川泰果くんは21歳でした。この30年くらいで10歳は若くなったいうことです。

「僕が日本オープンに勝ったんは、33歳のときですわ」

奥田靖己

おくだせいき。1960年、大阪生まれ。93年日本オープンなど6勝。シニアで2勝。ゴルフの侘び寂び、温故知新を追求する

週刊ゴルフダイジェスト2025年12月16日号より