数々のジュニアを育ててきた「桜美式ゴルフ」の代名詞といえば時松源藏プロたちが使う「テンフィンガーグリップ」。しかし、現在はそれがさらに進化し「エイトフィンガーグリップ」となった。引き続き、その効用について教えてもらおう。

PHOTO／Shinji Osawa、Norimoto Asada

解説／篠塚武久

しのずか・たけひさ。福岡市で「桜美ゴルフハウス」を主宰。福岡大学の大石迪夫教授と作り上げた「OSゴルフ理論」で多くのジュニアが結果を出す。18年レッスン・オブ・ザ・イヤー受賞

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  【桜美式“エイトフィンガー”】＜前編＞テンフィンガーが進化!　力みが消えて、振りがスムーズになる魔法のグリップとは?

  数々のジュニアを育ててきた「桜美式ゴルフ」の代名詞といえば時松源藏プロたちが使う「テンフィンガーグリップ」。しかし、現在はそれがさらに進化し「エイトフィンガーグリップ」となった。いったいどんなグリップで、どんな効用があるのか? PHOTO／Shinji Osawa、Norimoto Asada 解説／篠塚武久 しのずか・たけひさ。福岡市……

「中島さんは、エイトフィンガーグリップを本当に研究していて、もはや僕以上に説明ができるんです」と感心する篠塚氏。

実は、エイトフィンガーを生かすスウィングの動きがある。

「“引き”の動きを入れると、ねじりが生まれません。するとエイトフィンガーも生きます。体を交差させずに、左右を“引く、引く”イメージでスウィングします」

右肩と右足を引っ張るイメージでテークバックし、左肩と左足を引っ張るイメージでダウンスウィングを行う。

「グリップは“握って”いないから“押す”ことはできないけれど、“引く”ことはできるんです。体重を乗せたり移動させたりする意識は必要ありません」

また、ボールを打つのではなく“はじく”感覚も大切だ。

「当てにいかない、力を入れないイメージで物理的なスピードも付きます」

“引く、引く”の動きを習得するためには、「言葉に出して打つオノマトペを使ったり、日本古来からある、左右の手足を同時に出して進む『なんば歩き』を利用したりするといいんです」

右肩と右足を引くイメージでテークバック。自然にシャットフェースとなり、トップも小さくなる。足踏みのイメージでもOK。手が脱力しているので足裏や脚の動きが自然に反応する

左肩と左足を引くイメージでダウンスウィング。自然にローテーションはなくなる。半身（オープンスタンス）で構えると“引く、引く”動きがしやすい

脱力しているのでクラブが加速しようとする動きを止めないし、クラブの重さに身を任せると自然に体で振ることにつながり、体の力が効率的に伝わる

ここで再び中島さんに解説してもらおう。

「今のクラブは直進性を追求して進化しています。そのなかでボールを曲げない理論がGGスウィングですけれど、体力や運動神経も必要になってくる。プロならいいけれど一般の僕たちは強制的に頑張らないといけない。一方、篠塚先生の方法はもっと簡単に真っすぐ打てるものです。以前はフェースの向きや上げ方をいろいろとチェックして、素振りで確認しないとできないスウィングをしていましたが、今は一切やっていません。ただエイトフィンガーで力を脱力させて引いて引く。これが身に付くと、体をねじって回したりすると逆に違和感が出てきます。

もちろん、誰しもグリップを変えることにまずは抵抗感はあると思います。僕は単純に指が痛かったからテンフィンガーにすることまではすんなりいけましたけど、エイトフィンガーは最初、違和感がありました。でも、仕組みに納得できれば実践したくなりますし、僕は周りの目は気にならないですね（笑）。エイトフィンガーのよさって、極端に賢い人か、実直な人かしかわからないのかもしれません。先生の理論は、人間本来の“作用”を使うもので、実践がすべてですから」

横で嬉しそうに聞く篠塚氏。

「いずれにせよ、ゴルフは故障が多すぎます。ジュニア時代から苦しんでいる人も多い。それに、ラクに簡単に上達できることこそゴルフ界の発展につながるのです。そして、うちのジュニアたちは、成績面でもまた、すごいことになると思います。楽しみです」

エイトフィンガーは、変なグリップではなく、夢を叶えるグリップなのかもしれない。

「なんば歩き」からの素振りで「引く、引く」のイメージをつかもう

自転車に乗るように、“引く、引く”の動きを身に付けよう。「歩くことは基本の動き。なんば歩きからの流れで素振りをする練習もいいですよ」（篠塚）

ショートゲームこそ「エイトフィンガー」

「これが普通。このグリップでプロ目指します!」（桜美ジュニア）

唯一無二の存在になるべく、エイトフィンガーでプロを目指す3人。「応援してください!」

週刊ゴルフダイジェスト2025年12月2月号より