Myゴルフダイジェスト

フィニッシュ位置にブレはないか。

古閑美保、上田桃子など数多くの名選手を輩出してきた坂田塾・塾長の坂田信弘が、読者の悩みに独自の視点から答える。

長男雅樹が出掛けた。

4月1日、車で神戸へと向った。コロナを警戒しての車での移動だった。家を出て7時間半で神戸に着いた。

翌日から大手前大学ゴルフ部員32名の指導に入った。

朝昼晩の食事はコンビニ弁当。レストランには一度も入らない食生活だった。部員も寮生活者は自炊かコンビニ弁当。自宅通いの者は母親の作る食事を摂って指導を受けた。

関西学生男子春季対抗戦を終え、25日、神戸を離れた。

7時間半で福岡市内に着いた。途中、眠くなったら休憩所で眠っていた。休憩なしだと6時間で着くが、1時間半は眠りの時だった。食事はコンビニ弁当。車の中で食べていた。

福岡に着いた後、市内のホテルに入った。

我が家から600メートルのホテルであった。車は我等の住むマンションの駐車場に入れ、歩いてホテルへ向った。

翌日、保健所のPCR検査を受けた。

車の中にいての唾液検査だったと聞く。ホテルで2泊し、報告を待った。その間の食事はコンビニ弁当。ホテルの部屋からは出ずの2泊だった。

陰性だった。

そして、30分後、帰って来た。

私は糖尿病持ちの73歳。コロナは罹った後の苦しさ、半端ではないと聞く。

雅樹は警戒した。私と女房を想っての行動だった。

雅樹とは3月31日に食事した。女房が作るいつもの食事だった。そして4月1日に福岡を離れ、4月27日に帰って来た。

女房と雅樹と私の3人の食事は27日振りだった。

今日4月28日、水曜日。

まだ雅樹は眠っている。

神戸の泊りは4カ所のホテルだったと聞く。

新幹線の移動だと福岡-神戸は楽だが、車の移動は疲れると思う。それでも指導が必要と神戸へ向った。

女房は心配した。毎日コンビニ弁当で大丈夫なの、と。

「俺は若い。まだ43歳。お父さん、お母さんじゃ心配だけど、俺は大丈夫」

女房は楽観主義者である。

それでも雅樹陰性と聞いた瞬間、やったネ、雅樹!と叫んだ。

そして夕御飯を作り始めた。

私の食事を作る時、笑顔はない。4月27日の昨夜はニコニコ笑いながら作っていた。

いつもより塩っ気が強い夕食だった。

体調良好です。

グリップの太さを調べて貰いたい。

得意にしていた100ヤードのショットをことごとく外してしまいます。練習場ではいつもと同じなのですが、コースに出ると、なぜか上手く打てません。ほとんどが右に外れ、それを嫌がって左に引っかけるというパターンを繰り返します。150ヤードは普通に打てるのに、なぜかウェッジだけ球が散るのです。どうすればいいですか。(宮城県・後藤琉太・38歳・ゴルフ歴8年・平均スコア95)

私のレッスンビデオ「ゴルフ進化論」の最初の収録は1998年と記憶する。収録地はアメリカ西海岸ロサンゼルスだった。

スウィングの基本を語り、理想のスウィングを定義し、そのスウィング作りの指導に徹した内容であった。

ゴルフダイジェスト社製作発売のビデオだったが好評だった。

発売されて3カ月後、続編の収録に入った。

朝日新聞社からも出した。「ゴルフ進化論」の内容とは異なる実戦向きのビデオ「秘伝・坂田信弘の72打」のタイトルがついた。NHK、趣味悠々で収録放映されたものもビデオ化された。

レッスンビデオの発売巻数は28本になった。

「ゴルフ進化論」を購入された方から相談が来た。購入し、いつも見てはいるが、理解しても理論通りに打てない、あるいは理解出来ないとの相談だった。

ゴルフダイジェスト社はツアー部門を持っていた。その部門から大人の為の進化論塾をやりませんか、との話が来た。

ビデオだけではスウィング矯正出来ない方を募っての3泊4日のタイ・バンプラGCでの進化論合宿提案だった。

受けた。

参加人数は60名迄とした。

本誌に合宿の予定が出た。60名枠はすぐに満たされた。ウェイティングが生じた。

進化論塾は50回を超えた。マレーシア合宿では120名の方が参加した。

36ホールあるから60名超えても大丈夫だろうと旅行担当者は言った。だが、申込み多くてもキャンセルもあるだろうからと安易に考えたのが大間違いだった。120名を超え、キャンセルなしの状況になった時、どうしましょうと泣きついて来た。

やる以外になかろうが、と私は言った。

あの時が一番きつかった。暑き地での120名の指導である。

合宿最終日、夕刻のパーティーはプールサイドで行った。宿泊ホテル、120名入る部屋がなかったからである。星が輝いていた。椰子の葉は大きかった。記念写真のフラッシュが続いた。

中国の昆明でもタイのバンプラでもやった。1年に3回、多い時は4回の合宿が続いた。

私は疲れた。

レッスンビデオの収録を終らせた。進化論合宿も終らせた。

貴兄の相談なれど、同じ悩み持つ方は多かった。

その距離になるとミス生じるとの悩みである。

他の距離を打つスウィングと比較した。

はっきりと分る共通事、一つあった。

フィニッシュ位置だった。

上手く打てない距離のスウィングにはフィニッシュの位置流れが生じていた。

ビシッと決まるフィニッシュの時は振れていた。フィニッシュ位置、上下左右に揺れている時は、方向も距離もブレていた。

グリーンサイドのバンカー、ウォーターハザード、OBが眼に入るとフィニッシュが崩れていた。

気持ちだった。

どんな気持ちで打って貰えばいいのかを考えた。

だが気持ちの持ち様はプロでも難しい事である。

ラウンド80切れない方に今迄経験のない新たな気持ちで球に向えと言うは残酷だった。

言うは易し、行うは難しがゴルフだと思う。進化論合宿、貴兄と同じ悩み持つ方は多かった。

使用クラブを見せて貰った。

はっきりと違い分るクラブもあれば、微妙な違い感じる事もあったが、グリップの太さに異和を感じた。

グリップが他のクラブと較べて太いか細いかの違いがあった。

細い方は左へ曲げ、太い方は右へ曲げていた。

グリーン周りの怖れとグリップの太さの違いが合致するミスの原因だった。

日本へ帰ったら、すぐグリップの太さを整えて下さいとの指示を出した。

グリーン周りの恐怖があっても、ミスへの予期不安生じても、合致するものなければ連続のミスは生じないものだ。

グリップの太さ、シャフトの硬さ、長さ、そして上手く打てるクラブと打てないクラブのソール角、ライ角が違っていれば合致は生じると思う。

進化論合宿、彼等のミスは消えていた。

貴兄にはグリップの太さを調べて貰いたい。

ほとんどの球が右へ行く状況、それは100ヤード打つクラブのグリップが太いのではないかと推察する。あるいは摩耗して滑り易くなっているかだ。

練習時、私はノギスを持ち歩いていた。ノギスとはグリップの太さ、直径を測る機器である。安心を得る為の持ち歩きだった。

どうも今日は右に出るなと思った時、右へ出る理由が分るのと分らないではラウンド時の自信は違って来る。理由が分れば7割の対応は出来る。

スウィングに問題生じた時、その原因はスウィングからではないと思う。

微妙なる太さ、硬さ、重たさを原因とする感覚的なものから生じるのではと考える。

1カ月以上、クラブを握っていない時の練習かラウンド、太さと硬さに異和を覚えるのであれば感覚は残っている。何も感じないのなら感覚は消えている。

グリップの太さを調べて下さい。

以上です。


坂田信弘
昭和22年熊本生まれ。京大中退。50年プロ合格


週刊ゴルフダイジェスト2021年5月25日号より