地面反力で飛距離アップ!<前編>ドラコンプロ・杉山美帆のスウィングをクォン教授が徹底解析。明らかになった課題とは?
週刊ゴルフダイジェスト
バイオメカニクスの世界的権威・クォン教授がドラコンプロ・杉山美帆のスウィングを分析。飛距離をさらにアップするための効率的な体の動かし方が見えてきた。
TEXT/Kosuke Suzuki PHOTO/Hiroyuki Okazawa THANKS/ネクストベース・アスリートラボ


杉山美帆 ドラコンプロとして活躍し、2019年ドラコン日本選手権で優勝。最長飛距離は325Y。TPI公認トレーナー資格を取得し、現在はアマチュアへのレッスンも行っている
ヤン・フー・クォン テキサス女子大教授でバイオメカニクスの世界的権威。ゴルフにおける地面反力研究の第一人者でもあり、多くのトッププロのスウィングを解析している
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課題はバックスウィングの
スピード
杉山美帆プロのスウィングを解析したクォン教授によると彼女のスウィングは地面反力が大きく、それを生かすモーメントアーム(※1)も長い。Xファクター(※2)も大きく、運動連鎖(※3)もスムーズであり、飛ばせる要素は非常に大きいという。
「杉山さんのスウィングはとてもポテンシャルが高いですが、現状ではそれを十分に生かせているとは言えません。とくにバックスウィングに問題を抱えていて、トップでシャフトクロスするせいで軌道が乱れたり、ダウンスウィング以降クラブを引きずるように振っていて上手くリリースできていません。これは手首の使い方に問題があるのですが、さらに原因を掘り下げれば、バックスウィングのスピードが遅いことが最大の問題。杉山さんはそこを改善することで、まだまだ飛距離は伸びるはずです」(クォン)
もっと足を使ってバックスウィングして速度を上げれば地面反力を使えるようになり、結果的に手首の動きもよくなって、軌道もリリースの動作も一気に改善するというのだ。
(※1)モーメントアーム……地面反力のベクトルの通過点と体の重心との距離。長いほど地面反力が効率よく回転に変換される
(※2) Xファクター……トップにおける腰と肩のねじれ量。大きいほど飛ばしに有利
(※3) 運動連鎖……足、腰、胸、腕、手首、クラブの動きの連鎖。正しい順番でつながるほど効率がいい

教授独自の計測器「クォン3D」で分析
クォン教授が開発した「クォン3D」という解析器を使用。14台の高速カメラやフォースプレートなどのマルチセンサーで得た運動データを3Dで解析できる
改善ポイント1
バックスウィングで地面反力が足りない!

ダウンスウィングの地面反力は大きいが、バックスウィングが手でなぞるようにゆっくりな動きであるため地面反力が使えていない。これが元凶だとクォン教授は指摘する
改善ポイント2
コック不足がトップのシャフトクロスを生む
手首のコックが不足しているのを体の回転で補っておりシャフトクロスにつながっている。これが軌道を乱し、ダウンスウィングでのリリースを阻害する原因にもなっている

改善ポイント3
リリースできずに引きずるような動き

手首の動きが悪くリリースが遅れ、クラブを引きずるようなダウンスウィングになっている。もっとクラブを放り投げるようなダイナミックなリリースが必要だ
杉山美帆の1Wスウィング
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- クォン教授のスウィング解析によって飛距離アップの課題が明らかになった杉山美帆。後編では、クォン教授の理論に詳しい吉田洋一郎プロに、具体的な体の使い方や練習法を教えてもらった。 TEXT/Kosuke Suzuki PHOTO/Tsukasa Kobayashi THANKS/南が丘ゴルフガーデン 解説/吉田洋一郎 よしだ・ひろいちろう。1978……
週刊ゴルフダイジェスト2025年10月14日号より


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