Myゴルフダイジェスト

  • ホーム
  • 週刊GD
  • 【岡本綾子 ゴルフの、ほんとう】Vol.867「ゴルフを始めた23歳くらいのころ、左半身がシビれて感覚がなくなって病院に行くほど練習した(笑)」

【岡本綾子 ゴルフの、ほんとう】Vol.867「ゴルフを始めた23歳くらいのころ、左半身がシビれて感覚がなくなって病院に行くほど練習した(笑)」

米国人以外で初めて米女子ツアーの賞金女王となった日本女子ゴルフのレジェンド・岡本綾子が、読者からの質問に対して自身の経験をもとに答えていく。

TEXT/M.Matsumoto

>>前回のお話はこちら


コンペの朝、左足をねじってしまったのですが、痛みを我慢してそのままスタートしました。後半は腫れも出ましたが何とか最後までプレーできました。そこで思ったのですが、ゴルフにおいて大事なのは右足、左足どちらなのでしょうか。(匿名希望・40歳)


スウィングは、背骨を軸の中心とした回転運動でとよく言われます。

力強いショットを望むなら、何よりもまずその回転の軸を安定させることは大事ですが、バランスよくスウィングするには、土台である脚、特に左脚はとても重要な役割を担う部位です。

なぜなら、バランスよく振り切れたときは、フィニッシュで左脚一本で立てる状態になっているからです。

この話をしていて思い出したのですが、わたしがプロを目指してゴルフの練習を始めて間もない23歳の頃。

突然、体の左側がシビれて感覚がなくなり、慌ててお医者さんに駆け込んだことがありました。

そのとき、診てくれた先生が言うには「それまで使っていなかった筋肉を、短期間にあまりにも酷使したせいで起きた一時的なマヒ状態」とのことでした。

中学、高校、実業団と10年以上ソフトボールに打ち込んできたわたしは、左投げ左打ちでプレーしてきました。

左バッターですから、インパクトで右脚を打ち出し方向へ踏み出して踏ん張って打っていました。

そのわたしが、今度はゴルフでは右打ちに変わる。

振るという動きは、大まかに同じだとしても、それまでとはまったく逆の動きになります。


ゴルフに転向して右打ちになったわたしは、トップから切り返してインパクトに向かうにつれ、左脚の踏ん張りが大きくなるスウィングになっていきます。

そして、プロゴルファーになるため脇目も振らず猛練習に没頭したことが、体の左側のシビレの原因だったのでしょうね。

それ以降、休み休み体を動かすようにして徐々にゴルフの動きに体が慣れ、1カ月ほどでシビレは消えましたが、いま振り返ってみると右脚主導から左脚主導への急激なシフトが、のちのちの腰痛の遠因にもなっていたのかもしれないと思いますね。

それはともかく、右打ちのゴルフ選手にとっては、左脚がとても重要な役割を担うということです。

個性的なスウィングをするといわれるプロゴルファーでも、右脚体重で打っているゴルファーはほぼいません。

ボールを打つという動きにおいて、左脚を踏み込んで踏ん張ることで、インパクトで力を伝えることができ、それに伴い、ボールコントロールもできることにつながってくるからです。

ですから、左脚を痛めている状態でまともなスウィングはできないと考えるのが普通なのです。

月イチゴルファーの方にとっては、せっかくのラウンドですから、左足首をねん挫していたとしても、プレーしたい気持ちが先立ち、無理にでも回ってしまうと思いますが、ねん挫はクセになってしまうので要注意ですよ。

ちなみに、アナタは左足をねん挫しても最後までラウンドできたということですが、きっと、手打ちだったから打てたのだと思います。

それとも、痛いところをかばいながら慎重にスウィングしたから、いつもより体の負担がなくスムーズに振れたのかもしれませんね。

体調万全で絶好調なときより、むしろ多少どこかに不安材料を抱えているときのほうが、無理せず振っていくから逆に良いスコアが出た、なんてこともありますからね(笑)。

普段は気にしていないことも、ケガをしたことにより、なんとかカバーして工夫しながらやり抜くことがあります。

そいうときに、いつもの自分のスウィングを客観的に考えてみると、ハタと気が付くことがあります。

だから、今回のケガは痛かったかもしれませんが、成長のための一歩ととらえることができれば、ゴルフを深く考えるキッカケにもなったと思うので、もっとゴルフを楽しめると思いますよ!

「一心不乱にやり抜くことって、とっても大切だと思っています」(PHOTO by Ayako Okamoto)

週刊ゴルフダイジェスト2025年7月15日号より