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【たま~に80台で回りたいッ!】Vol.16「飛ばし」か「刻み」か? シニアの飛距離問題を考察

飛距離が出なくても、練習量が少なくても、たま~に80台で回るゴルフは十分に可能! コラムニストの木村和久がシニアのための89ビジョンを指南。

ILLUST/Shinichi Hoshi

>>前回のお話はこちら

先日、年に2~3度会うゴルフ仲間とラウンドし、ドライバーショットで平均30~40ヤード置いていかれました。その人は10年以上一緒にゴルフをする関係です。昔から自分より10ヤードくらい飛ぶかな? でもスコアはどっこいみたいな感じでしたが、数カ月ぶりのラウンドでは、明らかに飛距離が伸びていたのです。ちなみに飛距離アップの工夫をしているのか聞くと、週3回ジムに通って筋トレをやり、飛距離を伸ばしたという。60歳を過ぎて飛距離が伸びるんだ! 

結果、ティーショットのアドバンテージをまざまざと見せつけられました。セカンドショットはこっちが5番ウッドで打って、グリーンを外すのに、同伴者は8番アイアンで軽々2オン。無意識のうちにドライバーで力が入って、方向性が悪くなり、ショットが荒れだしました。

さて昼休み、筋トレ話の詳細を聞きましたが、とんでもない努力をしているようです。お金は安いサブスク型のジムに行くから問題ない。むしろ継続する意志の強さが大事と言ってました。

もし自分が奮起したら、筋トレを週3回やれるだろうか? 多分無理でしょう。何しろ週1回のゴルフの練習すらできていない。彼は筋トレをやったうえで、ゴルフの練習もやっているはず。

というわけで、シニア世代の飛距離問題の最終回答を出します。


1. 練習場で多少飛距離は伸びる

今自分がやっているのは、アプローチ多めのショット練習。これが月2~3回程度で、現状維持が精いっぱいです。飛距離アップをさせるなら、ウッドを中心に大きなスウィングをして、トップをより深くしたい。それで10ヤードほど飛距離は伸びると思います。

けれど深いトップから、マン振りをすればミート率は下がります。しかも同時にストレッチをして、可動域を広げにゃならない。日頃、腕立て伏せや腹筋すらやらないので無理でしょう。

2. 高反発クラブの使用

以前に高反発クラブ、スーパーeggでドライバーの飛距離を平均10ヤード、最大20ヤードほど伸ばしました。競技には出られないし、軽く嫌味を言う人がいてやめましたけど。「バイ○グラショット」って言われましたから。

そうやっていろいろ逡巡していると、ふとゴルフの神様たちの金言が頭に降りてきました。

「飛距離は持って生まれたもの、逆らっては自分のスタイルは確立しない」by 宮本留吉。

どうです、なかなか渋い言葉じゃないですか。飛距離にこだわっているうちは上達しないという意味です。こういうのもあります。

「飛ばしの欲求を抑えたときに、ゴルフのゲームが見えてくる」by 中部銀次郎。

中部銀次郎氏は昭和39年の日本アマで、愛知カンツリーの14番丘越えパー5、通称“アパッチ砦攻め”をスルーし、左迂回の刻みで優勝した逸話が残っています。

還暦過ぎて飛距離アップも良いけど、もっと楽な方法はないかな。そもそも筋力アップで成功すると、今度はその筋力を維持しないといけない。つまりその後も筋トレはサボれないのです。

3. スプーンがドライバーを救う

話は先ほどのラウンド話に戻ります。知り合いの筋トレさんに、やられっ放しで、負けじとドライバーを振って、ドライバーが“暴れはっちゃく”状態になり、自滅寸前に追い込まれました。

すでに筋トレさんとはスコアで5打差ついて負け確定。でも一矢報いたいと。最後は510ヤードのパー5。そこでふとひらめいたのがスプーンの使用でした。

パー5の広いフェアウェイをスプーンか? でも今の状態なら、ドライバーを振ってもラフにボールが飛ぶだろう。そう思ってスプーンで打つや、見事な180ヤードショット。それから繋いで最後は残り40ヤードを寄せて、ワンパットのパーフィニッシュ。そのホールだけは勝てました。

この歳になって筋トレはしんどいです。もし飛ばし系の人と一緒にラウンドをしてあおられても(自分がそう感じるだけですが)、ここは逆張りスプーン作戦にしましょう。

だからパーオンせずに、“寄せボギー”をコツコツ取っていく。たまに寄せワンパーがあって、ちゃんと80台が出ますって。トップシニアと何度かラウンドしていますが、みんな寄せの練習ばっかりで、ドライバーの練習はちょぼちょぼ。そういう境地にたどり着き、寄せ名人の称号を得たいですね。

教える人/木村和久

「89ビジョン」をはじめ様々なゴルフの楽しみ方を提案するコラムニスト。ベストスコア75。01年鶴舞CCキャプテン杯優勝。ゴルフ歴は35年。現在は扶桑CCのメンバー

週刊ゴルフダイジェスト2025年7月15日号より