【岡本綾子 ゴルフの、ほんとう】Vol.844「距離のあるバンカーショットはプロだって怖いですから覚悟を決めて打つしかないんです」
米国人以外で初めて米女子ツアーの賞金女王となった日本女子ゴルフのレジェンド・岡本綾子が、読者からの質問に対して自身の経験をもとに答えていく。
TEXT/M.Matsumoto
ピンまで30ヤード以上あるバンカーショットがまったく打てません。番手を替えてもザックリやホームラン。女性だから難しいのか攻略法が分かりません。どうやって練習したらいいのでしょう。(匿名希望・41歳・ベストスコア83)
あるトッププロの選手はバンカーショットが苦手だと自覚していたので「バンカーには入れない!」と公言していたほどバンカーを苦手としていたことがありました。
それでも、時にはグリーンを外しバンカーに入ったときがあったので、一緒に回っていた選手たちは正直、内心ニンマリしたものでした。
懐かしい思い出です(笑)。
バンカーショットの上手い人、苦手な人はいますが、どんなに名選手で優秀なプレーヤーであれ、まったくミスなく完璧にこなすゴルファーなんていません。
まして距離のあるバンカーならなおさらです。
どの程度の距離から先が距離のあるバンカーかというと、やはり30ヤード以上からになると思います。
こうなるとプロでも厄介な状況といって間違いないでしょう。
距離のあるバンカーへの対処で何が一番難しいかというと、繊細なコントロールが必要とされ、ヘッドの入り方などの少しの誤差が大ミスにつながってしまう、非常にシビアな状況ということです。
20ヤードまでなら、まだSWのエクスプロージョンで届く距離ですが、30ヤードくらいになるとエクスプロージョンでは届かない。
だから砂を薄く取ってボールを飛ばす振り方をしないといけませんが、少しヘッドの入り方が間違えばホームランする可能性が高いです。
だからといって、砂を薄く取って打つ前提ですから、振り幅が小さいのに想定より砂を多めに取ってしまうと砂の抵抗に負けてザックリしてしまいます。
難しいのは打ち方だけではありません。
ボールのバックスピン量のコントロールの難しさもあります。
砂を爆発させて寄せるエクスプロージョンか、直接ボールにコンタクトしクリーンに打つかでバックスピン量がかなり変わってきますので、ボールをコントロールすることが難しいため、結果的に寄せづらいということがあります。
それほど結果の予測がつきにくい一打なのです。
また、この数十年でグリーン面が大きくなったことに伴い、以前に比べて距離のあるバンカーが増えているようにも感じます。
ですから、必然的にピンまで距離のあるバンカーが多数点在するケースも珍しくありません。
バンカーから上手く打てない理由は主に2つあり、手前過ぎる場所にヘッドが入って力が伝わらないか、ダフリます。
それと、使用するサンドウェッジの特性も理解することが必要です。
ヘッドの入射角を鋭角に振り下ろすスウィングか、緩やかな角度で薄く砂を取ろうとするタイプかで、サンドウェッジの適正なバウンス角やソール幅は変わってきます。それが自分に適合していない場合もミスの原因になり得ます。
練習する場所探し同様、使用するクラブの見極めも、バンカーショットでミスをせず上達するうえで大切なことですよ。
「週に1回だけでもバンカー練習してみたらかなり上手くなると思いますよ!」(PHOTO by Ayako Okamoto)
週刊ゴルフダイジェスト2025年12月31日号より