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Dr.クォンの反力打法 Vol.4 回転力アップの原動力は“左足の踏み込み”

地面を踏み込むことで地面からの反力が得られ、それが体の回転を促す力になるというクォン教授。しかし、ただやみくもに踏み込むだけでは、効率の良い回転を生み出すことはできない。

【語り手/クォン教授】
ヤン・フー・クォン。テキサス女子大学教授。専門はバイオメカニクス。生体力学的に理に適ったスウィングを研究。教え子にタイガーの元コーチ、クリス・コモらがいる

【聞き手/吉田洋一郎プロ】
よしだ・ひろいちろう。D・レッドベターをはじめ、世界の名だたるコーチのもとを訪れ、最新理論を直接吸収。日々探究・研鑽に余念がないゴルフスウィング研究家

前回のお話はこちら

吉田 前回は、地面反力という上向きの力が、スウィングの回転力に変換されるしくみを教えていただきました。

クォン 固いナットを回すとき、ナットそのものをいくら押しても回らないが、スパナを使えば簡単に回る。つまり回転の中心を通る力は回転を促進しないが、回転の中心を通らない力を加えると、回転力をアップすることができる。

吉田 これをスウィングに当てはめると、地面反力の矢印が真上を向いたら体の重心を通るから、体の回転を促進する力にはならないけど、矢印が体の重心よりも左を通れば、回転を促す力になるということでしたね。

クォン そう。そしてその矢印と体の重心の距離が長くなればなるほど、モーメントアームが大きくなって回転力もアップする。アームが短いスパナよりも長いスパナのほうが力を加えやすいのと同じ原理だね。

フィギュアスケートのジャンプでも、跳ぶ直前に左足を強く踏み込む。その反力によって、高く跳べると同時に、強い回転力が生み出される

吉田 つまりモーメントアームを大きくすることができれば、スウィングスピードを速くすることができる、と。

クォン そのとおり。ところで地面反力は、左右の足の「合力」だと前回話したね。

吉田 はい。

クォン 要は左足で踏み込んだときの反力(FL)と、右足を踏み込んだ反力(FR)の2つの反力があり、それらを統合して1つの反力(F)とみなしているわけだ。もし仮に、左足と右足の反力が全く同じ大きさで真上に働いていた場合、合力は左足と右足のちょうど真ん中から真上に向く矢印になる。

吉田 これだと回転力はアップしないわけですね。

クォン もし左足の反力が2で、右足の反力が1の場合は、合力の矢印は左足側に移動するから…。

吉田 回転力が生まれる!

左足の踏み込みが強いと、反力の合力Fの矢印は左足寄りになり、半時計回りの回転力が生じる。スウィング時の回転をサポートしてくれる

クォン では逆に、左足が1で右足が2の場合は?

吉田 合力の矢印は右足側に移動するから…回転力は生じるけど、逆向きの回転ということですか?

左足に踏み込めず、右足体重になると、反力の合力Fが右足寄りになり、時計回りの回転力が生じることも。体のスムーズな回転を妨げてしまう

クォン そう。だから、右足に体重が残ったまま打つというのは、体を回したくても上手く回せないわけなんだ。

吉田 よくレッスンで「切り返しで左に体重を乗せろ」とか「左足を踏み込め」などと言いますが、これは体重をボールに伝えるというよりは、回転力をアップするために重要だったんですね。

クォン 左にしっかりウェートシフトして、左足で地面を強くプッシュ! これが効率よく飛ばす秘訣だね。

Vol.3へ続く | 反力打法TOP

Dr. クォン&吉田洋一郎
『驚異の反力打法』

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