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スコアにつながるドライバー<前編>低スピンがいいとは限らない! アベレージゴルファーの“適正スピン量”とは?

ドライバーで飛ばすには「低スピン」がいいとよく言われるが、本当にそうなのか。クラブやボールが進化している今、改めて“適正な”スピン量について考えてみよう。まずはギアとスウィング理論の両面に精通する堀口宣篤プロに話を聞いた。

PHOTO/Hiroaki Arihara、Hiroyuki Okazawa、Blue Sky Photos、Yasuo Masuda THANKS/PGST

解説/堀口宣篤

米国でゴルフを学んだ経験を生かして、クラブフィッテングとスウィングを同時進行で教える。海外の最新理論にも明るいプロコーチ。東京・新小岩の「パフォーマンスゴルフスタジオ」主宰

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スピン量は少なければいい
わけではない

「スピンは、ボールを“浮揚”させるのに大切な要素。実際、フィッティングをしていて、スピン不足で『ボールが上がらない』なんて言っているアマチュアの方、多いんです」という堀口プロ。

「確かに、“一発の飛び”を考えれば低スピン弾道もありですが、スピンが少なすぎると、ボールが上がりにくく、キャリーも安定しづらい。決して、スピンは少なければ少ないほどいいわけではないんです」

昨年のZOZOチャンピオンシップでPGAツアー選手の弾道データを見て、驚いたという堀口プロ。

「HS50m/s以上、ボール初速も80m/s近くあるPGAツアーの選手でも、スピン量は2500〜2600回転くらいが平均。X・シャウフェレは、ボール初速79m/s、打ち出し角12度、スピン量2600回転くらいで最高到達点40m近い高いボールを打ってくる。C・モリカワも2700回転くらい。2000回転前半の選手なんてほぼいませんでした。

ヘッドがアッパーではなく、レベルで入ることによって、安定したヘッド軌道になり、これが“適正スピン”の入った安定したキャリー飛距離や弾道を生む。スピンが少なすぎると、球がよじれやすいですから。タフなコースで、ハザードを避けて、狙った場所にボールを運ぶ。そんなティーショットに最適な弾道なのだと思います」

プロ弾道の特徴1
レベル軌道&適正スピンが安定キャリーを生む

「多くの選手は、フェース向きのコントロールがしやすいレベル軌道でヘッドを入れています。この軌道が適正なスピンを発生させ、安定したキャリーや弾道を生む。アッパー軌道ではフェース向きの管理が難しいんです」

プロ弾道の特徴2
ドライバーも驚くくらい高い球。これも適正スピンのおかげ

「中弾道ライナー系で前へ行く球をアマチュアは“飛ぶ弾道”と思っている方が多いのですが、実際のプロの弾道は適正スピンが入って、しっかりキャリーの出る高弾道です」

スピンが少なめだと“危険な球”になる可能性大

「スピンが少なすぎると、ドロップやチーピンといった危険な球が出る可能性が高くなります。適切なスピンが入ることによって、球が上がり、キャリーが出て、球の曲がりやよじれが少なくなっていくのです」

「女子プロはアッパー軌道で、低スピン弾道で飛ばす、とよく言われます。ただ、これはアッパー軌道でもフェース向きの管理ができる、打点が常に安定している女子プロならではの“スゴ技”なんです」

適正スピンなら
安定してキャリーを稼げる

「確かに、スピン量2000回転くらいの低スピンは飛んでますよね。でも、これは“ギリ”の数字。これくらいのスピン量にしようと打っていたら、ほんの少しの打点ミスで平気で1400とか1600回転くらいの超低スピンな“危ないボール”になる可能性がありますから。ヘッドの軌道や打点が安定している女子プロだからこそ、このくらいのスピン量で、毎回同じように飛ばしていけるわけです。

それとキャリーとランの比率も大事です。キャリー+ラン20Yくらいが適正なスピン量の弾道。ランの比率が高い弾道は、スピンが足りずにキャリーが出ないことにもつながってしまいます。

結局、適正スピンで安定したキャリーの出る弾道のほうが、間違いなくコースで使えます。一発の飛びより、平均飛距離を重視したほうがコースマネジメントやスコアメイクをしやすいのです」

HS40~41m/sでスピン量を変えて実験

2400~2600回転が最も安定した弾道になった
「2400~2600回転くらいのスピン量が安定した弾道になりますね。このくらいのスピン量なら、打点ミスでスピン量が落ちても、2000回転を切ることはないと思います。だから飛ぶ、飛ばないの“バラつき”が少なくなる。いろいろ試してみると、HS45m/sくらいでも、2600回転くらいがキャリーとランのバランスのいい球になりました。HS37m/sくらいなら2800回転くらいあってもいい感じです」

適正スピンを実現するには
前傾キープ&レベルブローがカギ

Point1
両肩を水平に構える

両肩をほぼ水平(レベル)な状態で構える。グリップしたときに右手が下にくる分だけ、右肩がわずかに下がる程度

Point 2
胸を回してバックスウィング

腕で振ろうとすると体の伸び上がりが起きやすい。腕でクラブを上げずに、胸郭を回してバックスウィング

Point 3
左股関節に乗って腰をターン

切り返しからダウンスウィングで左に踏み込み、左股関節の上で腰をターン。腕で振らずに、下半身主導で振っていく

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週刊ゴルフダイジェスト2024年11月5日号より