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【キミこそ王子だ】Vol.336「ゴルフ以外の世界も知りたい」スウィングも考え方もしっかりした中部チャンプ

雑巾王子こと武市悦宏プロが、全国の有望なジュニアゴルファーのもとを訪れ、大人ゴルファーにも役に立つゴルフのヒントを探る当連載。今回の王女候補は岐阜県出身、学校法人富田学園岐阜東中学校3年の伊藤柚葵さんだ。昨年「日本ジュニア」で4位タイ、今年「中部ジュニア」で優勝と実力をつけている彼女に武市が迫る。

今回の王女候補

伊藤 柚葵さん

いとう・ゆずき ●主な戦歴/2024 中部ジュニアゴルフ選手権12~14歳の部 優勝 ●ベストスコア/64(伊深の森カントリークラブ) ●練習/毎日2時間 ●トレーニング/週1回(1時間)


今年「中部ジュニアゴルフ選手権」を制した伊藤柚葵さんは武市と同じ岐阜県出身だ。

何かスポーツをさせたいという父親の意向もあり、幼稚園年長でゴルフを始めた。小4からはテニスも習い、今でも週1回はクラブではなくラケットを握っているそうだ。

そんな柚葵さんのゴルフスタイルは武市いわく「超現代風」。その心は次の通りだ。

「昭和の時代、ゴルフが上手い人というのはクラブを操りボールを操る人という印象だった。手首や指先の感性をフルに使ってヘッドの入射角やフェースの向きや角度を微妙に変化させ、いろんな球を打つ。それが技術という認識だった。でも、令和の今は違う。クラブの進化もあって、いかにシンプルに打つかがカギ。つまりシンプルに打つことができる“技術”を持っている人が上手い人なんだよね。そういう意味で柚葵ちゃんは、メチャクチャ高い技術の持ち主。本当にクラブの動きを邪魔しないスウィングをするよね。インパクトで“叩く”感覚はなく力の入れ方も終始均等。だから曲がらずに超ストレート。ロースピンでランも出て、見た目以上に飛距離も出る選手だね」


「ありがとうございます。周りよりちょっとだけ飛ぶほうかもしれません」

「自分ではどういう意識で振っているの? クラブの動きを邪魔しないようにという意識はある?」

「う〜ん。腕や手の意識はありません。ただ、ダウンスウィングで頭が左に突っ込まないようにして
います」

「なるほど、クラブの動きを邪魔しない“技術”だから、余計なことを考えて振ったら柚葵ちゃんのようなスウィングにはならない。クラブの動きを邪魔せず、性能を最大限に発揮するには、アドレスやグリップがスクエアであるのが大前提だしね。そして、本人も意識しているように軸ブレせずにその場で回転するのが大事。そのうえで腕に力を入れたり、手首を返したりせず、クラブを振り子のように使う。そうすればロフト通りにインパクトすることができ、大きな曲がりもない。それを極めているのが柚葵ちゃんで、すごく効率のいい打ち方だと思う」

テニスも好きでこれからも続けたいという柚葵さんだが、将来の夢はもちろんプロゴルファーだ。現在、中3ということで進路が気になるところだが……。

「ゴルフの強い高校に行くの?」

「まだ決めかねています。ゴルフも一生懸命やりたいですが、同時に勉強もしなければと思っています。そしてアメリカの大学に行くのもいいな〜と思ってます」

「いいね! ぜひ行ってほしいね」

「なんとなくですが、ゴルフ以外の世界を知るのも大切なのかな、と思っています」

ガツガツしていないけど、芯はしっかりしている柚葵さん。そんなところも現代風だ。

「岐阜っ子は無条件に応援したくなるし、実際ポテンシャルも十分! ぜひがんばって世界に名をとどろかせてほしい」と願う武市であった。

週刊ゴルフダイジェスト2024年10月29日号より