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【ゴルフはつづくよどこまでも】Vol.186「PGAツアーとLIVゴルフ」

高松志門の一番弟子として、感性を重んじるゴルフで長く活躍を続ける奥田靖己。今週もゴルフの奥深い世界へと足を踏み入れていく。

PHOTO/Shinji Osawa

前回のお話はこちら

今年は日本人選手の海外の試合での活躍が目立ちます。若い選手には、可能なら外には早く出てほしいと思います。出て経験しないとわからんことが多いですからね。

海外の試合といえば、高額賞金で話題のLIVゴルフですが、もちろんお金のためにやるのがプロですが、でもあまりにお金という部分が強すぎて、ハートとハートの勝負というようなもんが少しずつ欠けていきそうに思います。

まあ、やるのならPGAツアーとちゃんと和解をして、一つのツアーを目指す方向で、そのなかでの高額賞金の試合のシリーズとしてやっていくような感じになればいいんかなと思いますが。


差は賞金だけではなく試合形式にもあり、3日間競技で行うなど、ルールやレギュレーションも選手にとって負担が少ないもんとなっており、この点でも従来のツアーとの格差が言われております。

ゴルフいう競技はもともと過酷なもんで、雨が降ろうがサスペンデッドになろうが、あるがままでやるというのがR&Aの基本姿勢です。僕の経験では、プリファードライすらめったに出しませんからね。

2019年のロイヤルリザムの全英シニアオープンのときには、大雨で町が洪水で冠水して、それでも夕方に水が引いたら、夕方4時からスタートで僕は9時までラウンドし、残りのハーフはサスペンデッドで、翌朝6時から残りを回りました。

これはLIVゴルフとは両極端で、同じゴルフでも違うスポーツをやっているみたいになりますわ。片方はゴルフ発祥からの精神をかたくなに守ってプレーをする。片方は、今現在の時代の流れに沿ったレギュレーションのもとでプレーをする。もちろん、どちらがよいかという答えは容易に出せるものやないですけど。

賞金が高いからいう理由でLIVゴルフに参戦する選手もいて当然ですが、でも僕らプロゴルファーはもともとはツアーで優勝してカップを掲げる姿を思い描いてプロになったわけですから、その最初の気持ちを大事にしてもらいたいとは思います。

そして最終的には、先ほど言ったように統一できたらええ思います。やっぱり、今現在の旬の選手同士の争いを見たいですからね。

「プロになったときの最初の気持ちは大事にしたいもんです」

奥田靖己

おくだせいき。1960年、大阪生まれ。93年日本オープンなど6勝。シニアで2勝。ゴルフの侘び寂び、温故知新を追求する

週刊ゴルフダイジェスト2024年7月23日号より