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【名手の名言】トム・カイト「極限の緊張で心も体も震える。この震えが僕は愉しい」

レジェンドと呼ばれるゴルフの名手たちは、その言葉にも重みがある。ゴルフに限らず、仕事や人生におけるヒントが詰まった「名手の名言」。今回は堅実なゴルフで80年代に活躍。ゴルフ殿堂入りも果たしているトム・カイトの言葉をご紹介!


極限の緊張で心も体も震える
この震えが僕は愉しいし
どんなに素晴らしい気持ちか
他人にはわからないだろう

トム・カイト


トム・カイトのニックネームは「ミスター・コンシステンシー」。無謀な攻めは徹底的に排して、1打1打確実に積み上げていくタイプのプレーヤーだ。

1981年には、たった1勝だけだったが賞金王になったのも、この手堅さあってのものだった。その堅実なプレーで米シニアツアーでも10勝を挙げている。

派手さがないから、そのプレーぶりは退屈に見えるかもしれないが、パープレーを旨とするゴルフの正統性を愛するファンからは支持された。

その正統性を具現化したのが1992年、ペブルビーチで行われた全米オープン優勝だろう。

派手なガッツポーズもなく、静かに淡々とプレーするカイトだが、実は鎬を削る闘いに歓びを感じていたことは、確かに他人にはわからなかった。

この震え、恐れを感じていたからこそ、極限の状況でミラクルショットが出たとも、カイトは言った。もしそれを感じていなければ凡庸なショットしか生まれなかったと。

カイトは長年にわたりゴルフ界でその名を知られる存在として、ゴルファーとしての実績だけでなく、スポーツマンシップとリーダーシップでも尊敬されている。

■トム・カイト(1949年~)

ジュニア時代から名をはせ、テキサス大学では名コーチ、ハービー・ペニックの秘蔵っ子として順調に成長。ツアーに参戦して通算10勝。堅実なゴルフで2度の賞金王(1981年、1989年)に輝いている。メジャーは全米オープン(1992年、ペブルビーチGL)1勝。またライダーカップには7回(1979~1993年)出場。1997年にはキャプテンも務める。04年、ゴルフ殿堂入り。