【キミこそ王子だ】Vol.325「息抜きはお菓子作り! 大きなスウィングアークで飛ばす全国チャンプ」
雑巾王子こと武市悦宏プロが、全国の有望なジュニアゴルファーのもとを訪れ、大人ゴルファーにも役に立つゴルフのヒントを探る当連載。今回の王女候補は愛知県出身の高校1年、伊藤せあらさんだ。3月に行われた「全国中学校ゴルフ選手権 春季大会」で優勝した迫力のあるスウィングの秘密を武市が解説する。
今回の王女候補
伊藤せあらさん
いとう・せあら ●主な戦歴/2024全国中学校ゴルフ選手権春季大会優勝 ●ベストスコア/65(セントクリークGC) ●練習/毎日90分180球 ●トレーニング/メニューを組み定期的に行う
幼少期からゴルフ、ピアノ、絵画といろいろ習い事をしていた伊藤せあらさん。そのなかで“好き”と“得意”が一致したのがゴルフということで、今はゴルフ道をまっしぐらに突き進んでいる。
いま教わっているのは、ツアープロだけでなくジュニアゴルファーの育成にも力を入れている青木翔コーチ。愛知県から青木コーチのアカデミーがある兵庫県まで定期的に通っている。フィジカルトレーニングは、渋野日向子プロも担当していた斎藤大介トレーナーに指導を受けている。
「スゴイ! スペシャリスト揃いだね。でもどんなに素晴らしい教えも、自分の中で消化して実行しなければ成績には結び付かない。そういう意味で全国大会優勝という結果を出したせあらちゃんは本当にすごいね」
「ありがとうございます」
体格にも恵まれている彼女のスウィングは迫力満点だ。
「スウィングアークが大きい!」と驚く武市。
「どんなことに気を付けてスウィングしているの?」
「アドレスでできる肩と両腕の三角形を崩さないようにイメージしています」というせあらさん。
「なるほどね。肩と両腕の三角形をなるべく崩さないようにスウィングしているからトップとフォローの位置が高い。つまり、スウィング弧が大きいってこと。そのメリットは、いくつかある。一番はスウィング弧が大きいとヘッドがインパクトに到達するまで距離が長いから、その分加速できること。もちろん、ダウンスウィングで体が左サイドに流れてたら意味ないけど、せあらちゃんは体幹もしっかりしていて、左ひざが流れないので体が開かない。だからダウンスウィングからヘッドが徐々に加速しながら、最高速度でドカーンとインパクトできる。そりゃ当然、飛ぶよね。
もうひとつ、ボールに対してヘッドの入射角が緩やかってこと。そうなると、自然と低スピンで高弾道のボールが打てるから、推進力が高い飛距離が出る球が打てる。あと、大きな筋肉を使ったスウィングだから小手先のスウィングと違ってプレッシャーにも強い。だから、全国大会という大舞台で勝てたんだね」
と武市は解説した。
先日はレギュラーツアーの「富士フイルム・スタジオアリス女子オープン」の予選会を通過して出場した。
「どうだった?」
「アプローチとパターがダメでした。でも、逆に課題が見つかったので、練習して次は結果を出したいです」
今年度からルネサンス豊田高等学校に進学し、さらにゴルフと向き合っているせあらさん。
「ますます強くなりそう! でも、たまには息抜きもしてね(笑)」
「お菓子作りが好きなので、チョコとかクッキーとかケーキを作って気分転換しています」
プロ顔負けのスウィングのせあらさんだが、最後に高校1年生らしい一面を見せてくれ、ほっこりした武市であった。
週刊ゴルフダイジェスト2024年5月21日号より