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【ゴルフはつづくよどこまでも】Vol.175「夢を実現させる弟子」

高松志門の一番弟子として、感性を重んじるゴルフで長く活躍を続ける奥田靖己。今週もゴルフの奥深い世界へと足を踏み入れていく。

前回のお話はこちら

僕も出場した、2月の終わりにタイで開催された「サンワード・シニアチャンピオンシップ/ZENCUP2024」の話を先週しましたが、取り仕切った日本人の中村映禅は、もともとは奈良の浄土宗の寺の跡継ぎで、日本におった30歳くらいから数年間は僕の弟子やったんです。

彼は日本では叶わなかったプロゴルファーになる夢を抱いて16年前にタイに渡り、現在はバンコクでティーチングプロとして活動するとともに、タイシニアプロゴルフ協会(TSPGA)のトーナメントプロでもあります。


映禅は今、バンコクのゴルフスタジオのほかに、バンコクから1時間くらいの「レガシーゴルフクラブ」の中にアカデミーを持っています。日本からのゴルフ合宿の受け入れなどもやっており、2月の試合もそこで開催されました。

ジュニアゴルファーの育成にも熱心で、以前、タイ在住の日本人の女の子を2015年に関西女子アマに連れてきて話題になったことがあります。立松里奈ちゃんいう子ですが、その子は2016年の世界ジュニアで優勝し、その後アメリカのオクラホマ州立大学に入り、学生大会で優勝したりしたみたいです。

さらにTSPGAとタイアップして、日本人がタイでシニアプロテストを受けるオーガナイザーになっとるんですわ。

タレントの武井壮さんのように、若い頃に叶わんかったプロゴルファーになる夢を、50歳過ぎて余裕ができた時期に再挑戦するお手伝いをするいうことです。

テストの内容は、 2日間、 36ホールのストロークプレーでトータル12オーバー以内、その後に筆記試験を経てTSPGAへ入会手続きをすれば、タイでシニアプロゴルファーになれるいうことです。テストは年に2回で、これまでにプロは10人くらい出てるらしいです。我もと思う人はネットで調べてみてください。

映禅にはもう一つ、タイで浄土宗のお寺を建てる夢があるけれど、法律的にもハードルが高いのだそうです。

ただ、ゴルフ界への貢献で名が知れてタイでトップの高僧と懇意になり、そのお坊さんの寺院の敷地内に浄土宗の寺を建てられそうだということで、もう一つの夢も実現しそうやということです。たいしたやつですわ。

「異国の地で、裸一貫、夢を叶えてる姿を見るんはええもんです」。写真はインスタグラム@eizen_thai より

奥田靖己

おくだせいき。1960年、大阪生まれ。93年日本オープンなど6勝。シニアで2勝。ゴルフの侘び寂び、温故知新を追求する

週刊ゴルフダイジェスト2024年4月30日号より