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【クラチャンと回ろう】大宮国際CC・田中のどかさん<後編>「すべてのホールを手描きしています!」

全国のクラチャン(クラブチャンピオン)にゴルフ上達の極意を学ぶ「クラチャンと回ろう」。引き続き、大宮国際のクラブチャンピオン・田中のどかさんのゴルフ観に迫っていく。

TEXT/Kenji Oba PHOTO/Yasuo Masuda THANKS/大宮国際CC、東宝調布スポーツパーク
※田中さんにはボランティアとして登場していただきました

田中 のどかさん 大宮国際CC・令和4年クラブチャンピオン(26歳・ゴルフ歴21年・ドライバー飛距離230Y・メンバー歴13年・主な戦歴/日本女子学生3位)

>>前編はこちら

すべてのホールを手描きしている

限られた時間といっても、ゴルフに向き合う姿勢は真剣そのもの。一例が手描きのホール図だ。田中さんは13歳から大宮国際CCのクラチャンを目指していたが、

「実は優勝する前年、21年のクラブ選手権のことです。それまで気が付かなかったハザードにつかまり、1打損して負けたんです。10年以上回り続けているホームコースで、自分は何をやってきたんだろう、と。ただボールを打っていただけだったんですね。それから出場する競技はもちろん、プライベートで回るコースでもインターネットからコース図を印刷、それを手描きしてここは絶対に打ってはダメ、だったらどこを攻めるか……と、イメージトレーニングしているんです」

設計者との闘いも、新しいゴルフの楽しみのひとつになった。

「設計者の作るワナには、同時に逃げ道も設けてあります。それを探すのもゴルフの楽しみだし、ここは逃げるべきか、攻めるべきかと、マネジメント力の向上にもつながっている気がします。河川敷の大宮国際は地面の硬さ、気まぐれな風、そして小さなグリーンで、思いもしないポイントが罠になることもあって。またミッドアマなどの大会では、練習ラウンドの時間を十分に取れません。そのため手描きホール図のシミュレーションが、すごく役立っています。これまでただボールを打っていただけでしたが、俯瞰でコースを眺め、次の1打、次のホールと考えられるようになりました」


マネジメントの基本は、逃げるか攻めるかの2択。優先順位の一番は、まずは絶対に打ってはならないポイントを探す。しかし、試合では攻めなければならない場面も。そんな時は、そこからの逃げ道を探しておいて、あとは迷うことなく攻めるのみ。なぜなら迷うとさらなる罠にハマるという、設計者の意図を発見したからだ。もちろん、そこには高い技術があってこそ。たとえば3Wの飛距離は200ヤード。それを超える距離は、1Wで230ヤードまで10ヤード刻みで打ち分ける。

「ときコースの6番パー3は、3Wでは届かないことも。1Wの長さ、フェースの開き、グリップ位置で調整して打ち分けています」

自宅での日課のパターとアプローチ練習は時間を忘れるほど。

「生活はかなりゴルフに侵食されています」と、笑った。

大宮国際でクラチャンを競うメンバー。右から春山俊さん(HC5)、前田鎮男さん(HC2)、加藤正幸さん(HC1)

河川敷は一打一打を2択で攻略!

攻め方を明確にすることが、特に河川敷コースでは求められる。「小さなグリーンはショートはOK、オーバーはアウト」といった具合に、どんな場面でも二者択一で考える。

ドライバー

フルショット or コントロールショット

200~230ヤードのパー3では、ドライバーを持つこともある。グリップをフルで握るか短く持つか。フェースの開き具合や振り幅と合わせて距離をコントロールする

ハンドアップ or ハンドダウン

左に行きたくない時は、ハンドアップにしてスティープ(鋭角)軌道(写真左)。右に行きたくない時はハンドダウンで低いフィニッシュ、フェースローテーションを大きく(写真右)

アイアン

「絶対に安全」な場所を探す

絶対に打ってはならない場所を探すのは、絶対に安全な場所を探す、と同義だ。ハザードはもちろん、ピンポジやグリーンの傾斜などで安全なエリアを確認

130Yを8Iでフルショットか7Iでコントロールショット

オーバーしない短いクラブでフルショットするか、1番手大きいクラブでコントロールか。ライや風などを考慮してより成功率の高いほうを選択する

ショートゲーム

40~50Yを52度か58度か

ピンが奥のときは58度の高さでキャリーさせて少ないランで寄せる計算。ピンが手前のときはグリーン手前でワンクッションさせてランで寄せる。河川敷グリーンの攻め方のひとつ

外からパターかウェッジか

カラーまで1メートル前後の位置にボールがある場合、パターかウェッジの2択になることが多い。ライや傾斜など、成功確率の高いほうを選択する

田中さんの14本セッティング

月刊ゴルフダイジェスト2024年5月号より