【ゴルフせんとや生まれけむ】 初芝清<後編>「20年以上前の道具で、70台を出しています」
ゴルフをこよなく愛する著名人に、ゴルフとの出合いや現在のゴルフライフについて語ってもらうリレー連載「ゴルフせんとや生まれけむ」。今回の語り手は、前回に引き続き、元プロ野球選手の初芝清氏。
プロ入り1年目からゴルフにハマり、ゴルフ歴はもう35年になるんですけど、ゴルフの道具に対するこだわりがまったくないんですよ。この前、BSテレ東の人気番組「ゴルフ交遊抄」に(元ロッテの)藪田(安彦)と一緒に出演させていただいたのですが、スプーンの飛距離が安定しないという相談をしたところ、オンエアはされませんでしたが田村尚之プロから「まずシャフトを替えなさい」と言われました(笑)。
僕は、5年前の社会人野球のコンペで2位に入ったとき、ミズノのドライバーとスプーンをもらったので、そのスプーンを使っているのですが、シャフトがSRなんですよ。田村プロいわく、「初芝さんはパワーがあるから、もっと硬いシャフトを使わないとダメ」だそうです。でも、「シャフトを替えなさい」と言われると「それだったら今のままでいいか」と思ってしまうんです(笑)。
アイアンセットも現役時代に知り合いが僕のスウィングを見て作ってくれたクラブで、ネームが入っているのでずっと使っています。現役引退が05年ですから、ほとんどのクラブを20年以上使い続けていることになります。
22年にプロ野球OBゴルフ選手権に出場したとき、飯田哲也(ヤクルト→楽天)にドライバーで40~50ヤード置いていかれたことがありました。飯田は僕よりも体が全然小さいのに、何であんなに飛ぶんだろうと考えたとき、「道具が違うんだ」ということに気付きました。それでも今さら道具を替えようとは思いません。飛距離を20~30ヤード伸ばしたとしても、スコアを左右するのは結局ショートゲームですからね。これだけ道具に無頓着なボクでも70台で回ることができます。ベストスコアは74です。ハーフベストは2アンダー34です。
僕の目標は今の道具のまま練習せずにパープレーで回ることです。初ラウンドの前日こそ練習場に行きましたが、それ以降の35年間、ボクは練習場にほとんど行ったことがありません。たぶんトータルで5~6回しかないです。ゴルフ場に練習場があるときもボールを打つことはありません。パッティンググリーンでボールを転がすだけです。
そもそもスタート時間の40分以上前にコースに着くのがあんまり好きじゃないんですよ。スタートの40分前に到着し、ロッカーで着替え、パターの練習をして「はい、行こうか」というのがお決まりのルーティンです。それよりも早く着きそうなときは途中で休んで時間調整します。
ボクは高速道路にも興味がないんですよ。ゴルフのときはどんなに遠くても“下道”で行きます。ゴルフってお金がかかるじゃないですか。それに車を動かすにもガソリン代がかかります。そこまではしょうがないですけど、それ以上お金をかける必要はないというのが僕の考えです。行きも帰りも下道でのんびりと車を運転するのが好きですね。
このようなスタンスでエンジョイゴルフをしながら、いつかパープレーで回ることにこだわっていきたいと思います。
初芝 清
はつしば・きよし。1967年生まれ、東京都出身。88年ドラフト4位でロッテに入団。90年に三塁手のレギュラーに定着。95年に打点王のタイトルを獲得。現役引退を表明した2005年に日本シリーズ制覇。引退後は社会人野球チームの監督を歴任。現在はオールフロンティア野球部監督
週刊ゴルフダイジェスト2024年2月27日・3月5日合併号より