【キミこそ王子だ】Vol.100 久常涼「ロングアイアンでも超高弾道でピンを上から狙う! ポテンシャル大の中2男子」
雑巾王子こと武市悦宏プロが、全国の有望なジュニアゴルファーのもとを訪れ、大人ゴルファーにも役に立つゴルフのヒントを探る当連載。今回の王子候補、岡山県津山市立東中学校年、久常涼くんは、「ポスト遼くん」と呼ぶにふさわしい逸材。そのポテンシャルに武市は驚愕!
今回の王子候補
久常 涼くん
ひさつね・りょう ●主な戦歴/2016全国中学校ゴルフ選手権大会 2位 ●ベストスコア64(宇部72CC万年池西コース) ●トレーニング/特にしていない ●練習/毎日2~3時間、250球
今回の取材はちょっと特別。約束の日、ちょうど久常くんがプライベートでラウンドをするというので同行させてもらった。いつもよりじっくりと、さまざまなショットを拝見した結果、「久常くんは期待大」と武市は絶賛した。
まず、ショットで心がけていることを聞くと、瞬時に「マン振りです」と返ってきた。これについて武市は「マン振りって、力いっぱい振ることだと思っている人もいると思うけど、そうじゃない。力いっぱい振っても、軸がブレブレでは意味がないでしょ。彼がいうマン振りは、しっかりとした軸のもと、持てる力を最大限に発揮する、という意味だと思う」と解説した。
それを大前提とし、武市が注目したのがロングアイアン。乾いた打球音とともに放たれる高弾道のフェードは「本当に中2?」と疑いたくなるほどだった。
久常くんは今年2度レギュラツアーに参戦している。そこで強く感じたのが「高いフェード」の必要性だった。プロの試合はグリーンも速く、ピン位置もシビア。バンカー超えすぐにピンが切ってあることも珍しくない。そんなときUTやFWではなく、ピンポイントに狙っていけるロングアイアン、それも上からドスンと落ちて止まる球を打てなければならない。そういう意識を持ったことから、高いフェードを練習するようになったのだという。
とはいえ、簡単にマスターできるものではない。一般的にフェードはドローとくらべて距離が落ちるが、それではツアーでは戦えない。追求すべきは、飛距離の出る高いフェードなのだ。
「彼は、まだまだ荒削りな部分はあるけどそれが完成しつつある」と武市は太鼓判を押す。
久常くんのフェードはなぜ、距離が落ちないのか? その疑問に対する答えは次のとおりだ。
「さっきいった通り、久常くんのマン振りは軸がある。軸については左軸がいいとか、右軸がいいとか、背骨がいいとか、諸説あるけど彼は若干、右寄りに軸がある。写真を見るとわかるけど、フォローで手元が高くなり右サイドが引き合っている感じがする。それは、ヘッドを鋭角に上から打ち込むのではなく、入射角をゆるやかにして上手くフェースにボールを乗せて飛ばしている証拠。つまり、フェースコントロールが繊細でとにかく上手い。打ち込むのと違い、入射角がゆるやかだから最適なバックスピン量を得て飛ばせる。それが彼の持ち味」
ハーフ付きっきりで歩いての取材だったが、久常くんの多彩なショットに魅了され関心しきりの武市。久常くんも武市にいろんな質問を投げかけていた。
「質問するってことは、自分に自信のある証拠。その点も彼にポテンシャルを感じる」
遼くんブームの次は、涼くんブームか!? そんな予感を抱いた武市であった。
週刊ゴルフダイジェスト2016年12月27日号より