【只今コージ中!】Vol.106 高速道路の燃費はトヨタを超えた! 驚異のフレンチハイブリッドカー、ルノー「アルカナ」
ゴルフ好きの自動車ジャーナリスト・小沢コージがゴルフに最適なクルマを求めて奔走する連載「小沢コージの只今コージ中!」。第106回はルノー「アルカナ」の実力をチェック!
PHOTO/Takaaki Miura THANKS/カメリアヒルズCC
タイガー・ウッズ、マニー・パッキャオがいつまでも勝ち続けられないように、どんなに強いチャンピオンでもいつかは負ける時が来ます。クルマ界も同じ。このエコオリエンテッドな時代、燃費のいいクルマといえばトヨタ流ハイブリッド、THSⅡ搭載のクルマでしたが遂に負ける時が来ました。といっても負けたのはほぼ“高速燃費に限って”ですが。
それが伏兵ルノー・アルカナハイブリッド。厳密には写真のマイルドハイブリッドもありますが、注目は新フルハイブリッドのEテックハイブリッド。
WLTCモード燃費は22.8km/Lと、カローラクロスハイブリッドの26.2km/Lに及びませんが、高速実燃費が違います。小沢が時速90kmぐらいで測ったところリッター30kmを軽く超え、リッター40kmに迫る勢い。コイツで高速飛ばしてゴルフに行けば多少はガソリン代が浮くはず。最近のクルマは燃費がイイので1回何千円も変わりませんが、週に2回以上ラウンドするヘビーなマニアにとっては朗報。
オマケにアルカナは全長4.5m台の程よいサイズのSUVで、適度な扱いやすさを備え、大人4人と広いラゲッジスペースを持ちます。容量480Lと十分で、横幅の問題で真横には積めませんが、シートを倒さず何とかバッグ2つOK。
肝心の走りと燃費のバランスですが、凄いのは「Eテック」なるルノーオリジナル技術。94馬力の1.6Lエンジンは普通なのですが、ルノーF1譲りのドグミッションという技術を応用したハイブリッドシステムがハンパない。
実際乗って驚きましたが、いま出回る2モーター式ハイブリッドには、どこからエンジンがかかり、どこからモーターで駆動しているのかよくわからない複雑なトヨタTHSⅡと、1モーターをほぼ発電専用として使い、残り1モーターをほぼ加速専用に使うシリーズ式があってEテックはTHSⅡに近い。
発進はほぼモーターのみで行うのですが、その後エンジンがどれくらいパワーを出し、ギアが何速に繋がっているか全くわからないのです。それでいてトヨタTHSⅡ的なもっさり感がなくて鋭い。ある意味、ダイレクト感で上回るのです。
もちろん街中燃費はトヨタ方式が上回りますが、ほとんど高速しか乗らないゴルフバカにはアルカナはオススメ。遂に新しい時代が微妙にやってきたのです!
(左)ラゲッジ容量は480Lと十分で、キャディバッグは2本積載可能/(右上)R.S.ラインにはルノー・スポール由来のレッドラインのアクセントを採用/(右下)なだらかなルーフラインが生み出す曲線美と張り出したフェンダーが力強い、まさにクーペSUV!
ルノー
アルカナ R.S. ライン マイルドハイブリッド
全長×全幅×全高/4570×1820×1580mm
メーカー希望小売価格/399万円~
週刊ゴルフダイジェスト2023年5月23日号より