【ゴルフはつづくよどこまでも】Vol.127「“教え魔”との向き合い方」
高松志門の一番弟子として、感性を重んじるゴルフで長く活躍を続ける奥田靖己。今週もゴルフの奥深い世界へと足を踏み入れていく。
PHOTO/Takanori Miki
ラウンド中に教えてくる人がいますが、そのアドバイスをどこまで聞いたらいいのですか、という質問をもらいました。
これは、その同伴しておる相手がどういう気持ちでおるかという空気感がものすごく大事になってきます。誰もが経験したり目にしたことがある例を挙げて説明します。
先輩か上司かわかりませんが、ミスした後に「さっきからもっと頭を残せ言うてるやろ」と言われますよね。そして次にミスすると「何回言うたらわかるんや、またヘッドアップしとる」と怒られる。下手したら打つ前に頭押さえられて、素振りさせられたりします。それでたまによい球が出たときは「今、残ってたなぁ、うん今はよかった」とときどき褒め言葉を挟むけど、でもすぐに「ほら、またや。な、今頭上がった。わかるやろ」と言うわけです。
そんな人の言うことを聞くとか聞かんとかいう前に、一緒に回らんかったらいいんですわ。だからラウンドに誘われたときに、「その日はちょっと用事ありますから」と言えるかどうか。それが答えです。
そして、その人との付き合いを考えるべきですわ。
家が近所の人なら、思い切って引っ越すとか。上司やったら会社やめなしゃあないやろ、いう話です(笑)。それかゴルフをやめるかやね。そう考えると、ゴルフって怖いでっせ。そんなことで楽しみを奪い取られるわけですから。
また、そういう教え魔は空気読めん人やから、自分のプレーは長かったりするわけですよ。
「よっしゃ乗せたるで」とか言ってワッグルを何回もしたり、人のラインを散々踏んで、ライン読んだりして時間かけよるわけです。だから、もし引っ越ししたり仕事をやめるまでするのが嫌なら、その人にハッキリ言わなしゃあないです。
「あなたプロでもないのに何を言うてるんや」。「ヘッドアップしてもあなたの邪魔になったわけでもないでしょ」。「私はあなたが打つの黙って見てたんだから、あなたも私が打つときは黙ってそこに立っててください」と。
そして「今日は、ゴルフのスウィング以外の話をしましょう」と言えたらええんとちがいますか。そのほうが、その人のためにもなるはずですよ。
「そういう人とご近所は苦痛ですわな。引っ越しを考えるべきです(笑)」
奥田靖己
おくだせいき。1960年、大阪生まれ。93年日本オープンなど6勝。シニアで2勝。ゴルフの侘び寂び、温故知新を追求する
週刊ゴルフダイジェスト2023年5月2日号より