【ギア選びのウソホント】Vol.131「トルクの小さいシャフトはハードヒッター向け」とは限らない
「キング・オブ・試打」としてお馴染みの堀越良和プロが、長年の知見から、ギア選びの際に重視すべきポイントや注意点をわかりやすく解説!
先週は“剛性分布”についてお伝えしました。今週はプロや上級者の口からよく聞く“トルク”の話をしたいと思います。まず、「トルクとは」というところからお話しします。
ゴルフクラブは、シャフト軸線とヘッドの重心位置がずれているため、ダウンスウィング時にヘッドが回転し(いわゆるヘッドが返る動き)、シャフトがねじれます。この、ねじれに対する強さを表すのが「トルク」です。トルクは角度で表され、数字が少ないほどねじれに対抗する力が強くなります。
こう記すと、「数値が低ければ低いほど、ハードヒッターに向いているってことですね」と思われる方が多いです。実際、私の生徒さんの話になりますが、普段、『スピーダーNXブルー』を使っている人が振りづらそうだったので、彼のスウィングだと『ベンタス ブルー』が合うと思い、薦めたところ「そんなにヘッドスピードは速くないですよ」と敬遠していました。しかし、実際にフィッティングしたら、「振りやすい」と言うのです。
実際、振り心地はトルクだけではなく、剛性分布や重量に大きく左右されるので、トルクだけでは決められません。“トルク”はあくまでも設計上の数値ですので、ゴルファーは気にしすぎてはいけないのです。
堀越良和
ほりこしよしかず。週刊ゴルフダイジェストで試打レビューを続けて約四半世紀の「キング・オブ・試打」
週刊ゴルフダイジェスト2023年4月18日号より