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ガンと闘うクラブプロが60歳でPGAツアーデビュー

ガンと闘う還暦のクラブプロがソニーオープンでPGAツアーデビューを果たした。

23年の開幕戦が行われたカパルアリゾート・プランテーションコースのヘッドプロ、マイケル・カスティージョは、昨年9月に開催されたアロハPGAセクションで優勝し、同大会の出場権を得た。

今年で60歳。5年前に結腸ガンが発覚し、さらに肝臓と肺に転移が見られたため、最近まで化学療法と放射線治療を受け続けてきた。闘病中にもかかわらずカスティージョはワイアラエCCを笑顔で闊歩(かっぽ)した。

試合結果は初日9オーバーの79、2日目は74で通算13オーバー、最下位で予選落ち。

しかし、「いいショットは打てたけれど、それをスコアに反映することができなかった。でもそんなことはどうでもいい。兄がバッグを担いでコースを一緒に歩けただけでも幸せだった。家族に見守られてツアーで戦えたのは、結果とは関係なく最高の思い出だよ」と感無量の表情を浮かべた。

ゴルフ一家に育ったカスティージョの父と2人の兄弟は以前ソニーオープンに出場した経験を持つ。家族の背中を追いかけるように夢を紡いだ彼もまた病と闘いながらチャンスをつかんだ。

だから本人にとって結果など些細なこと。「ガンと診断されて以来、人生の見方が変わった」というカスティージョ。

「50年間ゴルフしてきたのだから、ゴルフに対する本能のようなものは変わりません。でもあまり緊張しなくなりました。『これも人生という大きな流れの一部なんだ』と達観できるようになった気がします」とカスティージョ。

「ここで世界最高のゴルファーと一緒にプレーして鳥肌が立つような瞬間をたくさん経験しました。彼らのプレーを間近で見て、話をすることができたのは私にとって特別な時間でした」

来月検査の結果が出る。もし寛解なら不安なくゴルフに打ち込める。だが彼なら結果はどうあれ前を向いて歩を進めるはずだ。

諦めなければ叶う(PHOTO/Blue Sky Photos)

週刊ゴルフダイジェスト2023年2月7日号より