【キミこそ王子だ】Vol.272 グリップは“10フィンガー”! よじれのないビューティフルスウィンガー
雑巾王子こと武市悦宏プロが、全国の有望なジュニアゴルファーのもとを訪れ、大人ゴルファーにも役に立つゴルフのヒントを探る当連載。今回の王子候補は、福岡県出身、沖学園高校3年の林田直也くん。部内でもひときわ光る技術と成績でオーラを放っている彼。その秘訣は福岡に多い“あの”握り方だった!
今回の王子候補
林田直也くん
はやしだ・なおや ●主な戦歴/2020九州高等学校ゴルフ選手権 優勝 ●ベストスコア/63(阿蘇やまなみGC) ●練習/毎日2時間200球 ●トレーニング/体幹トレーニング
沖学園ゴルフ部でキャプテンを務める林田直也くん。父親の勧めでクラブを握ったのは4歳。小学生になると様々な大会で優勝し、才能の片鱗を見せていた。中学時代も「九州中学校ゴルフ選手権」「全国中学校ゴルフ選手権」の団体優勝に貢献するなど順調に成長。一時、スランプもあったが、それを乗り越え、一昨年「九州高等学校ゴルフ選手権」で優勝し再び存在をアピールした。
「直也くんの存在はずっと気になっていたんだ。ようやく会えてよかった」
「ボクもこのコーナーはよく見るので、うれしいです」
双方、笑顔で対面。
「イラスト描かれる方は一緒じゃないんですか? いつも上手に描くなぁと思って。どんな人が描いているか気になっていたんです」
「実はボクもお会いしたことがないんだけど、2割増しでカッコよく描いてもらってる(笑)」
そんな、よもやま話が弾んだあと、学校の練習場でスウィングを見せてもらうと武市は驚愕!
「ホント、いいスウィングだよ! やっぱり直也くんも10フィンガーなんだね。篠塚武久さんに教えてもらっているの?」
「はい」
ごぞんじの方も多いと思うが、篠塚武久さんは、福岡市のゴルフ道場「桜美ゴルフハウス」の主宰者。時松隆光プロや多くのジュニアゴルファーを教えている。
そんな篠塚さんの理論の核が、10フィンガーグリップだ。
林田くんもゴルフを始めたときから、パターも含め全クラブ、10フィンガーで握っているそうだ。
「10フィンガーは変わった握り方に思えるけど、本来は一番自然な握り方なんだよね。だから、怪我も少ないと言われてる」
「そう思います」
「あと、直也くんはアームローテーションを抑えた打ち方だよね」
「はい。フェース面が変わらないように心がけてます」
「なるほどね~。本来、10フィンガーは右手が強く使えるから、オーバーラッピングやインターロッキングのような従来型のグリップより、アームローテーションをしやすい握り方なんだ。でも、直也くんのようにゴルフを始めたときから10フィンガーだと右手を使ってローテーションするっていう意識はないんだね。たしかにインパクトで肩と腕とクラブがスクエアに戻って、どこにもよじれがない。そのうえで、フォローで左ひじをたたむスピードがめっちゃ速い。人間は押す力より、引く力のほうが強いので、それを上手く生かしたスウィング。よじれてないインパクトから、左ひじをたたんでヘッドスピードをUP。これが、飛んで曲がらない秘訣だね」
これは確実に300ヤード近くは飛んでいるはずだ。恐るべし!
家が遠いので毎朝4時半に起き始発で登校してゴルフ部の朝練に参加しているという。「この努力は絶対にムダにならない。きっと、近い将来ゴルフ界をひっぱっていく存在になるはず」。武市はそう確信した。
週刊ゴルフダイジェスト2022年4月26日号より