【キミこそ王子だ】Vol.261 ゴルフを始めて1年で中四国オープン出場! 広島の天才少年
雑巾王子こと武市悦宏プロが、全国の有望なジュニアゴルファーのもとを訪れ、大人ゴルファーにも役に立つゴルフのヒントを探る当連載。今回の王子候補は、広島県出身、広島市立段原中学校2年の中本旺希くん。小5でゴルフを始め、わずか1年で「中四国オープン」に出場したという彼のスウィングは切れ味抜群! 武市が「天才」と評した理由とは?
今回の王子候補
中本旺希くん
なかもと・おうき ●主な戦歴/2021 中国ジュニアゴルフ選手権12~14歳の部 優勝 ●ベストスコア/66(安芸CC) ●練習/毎日1時間30分 300球 ●トレーニング/週3~4回筋トレ
「ここにおったかー天才が!」
中本旺希くんのスウィングを見るやいなや、武市は叫んだ。
現在、中学2年の旺希くんは、まだ全国優勝こそないが、中四国では有名な選手。父の勧めでゴルフを始めたのは、小学校5年のとき。これは、ジュニア選手の中では、遅いほうと言っていい。にもかかわらず、小6で、「中四国オープンゴルフ選手権」の予選を突破し、本選出場も果たしている。
「ゴルフ始めてたった1年で、中四国オープンに出たの? スゴすぎでしょ」
「小6のときが、一番上手かったかもしれません(笑)」
「どんな練習したら、そんなに上手になるの?」
「マキロイ選手が好きなので、彼のYouTubeをよく見てます。特にダウンからの切り返しが勉強になります」
さらにほぼ我流というから驚きだ。では、武市に天才と言わしめたポイントはどこなのだろうか?
「スウィングのキレが抜群! アドレスも綺麗だし、構えたらすぐに打つ。どこにも迷いがなく、最後までスパーンと振り抜いている。このリズムとテンポはなかなか真似できないよ。見ていて本当に気持ちがいい!」
旺希くんは球を打つのが「本当に楽しい」という。練習も1球1球吟味して……というよりは楽しい気持ちにまかせ1時間半で300球ぐらい打つそうだ。
唯一「頭が右に動くとフックが強くなるので、バックスウィングで左ひざを寄せないように注意している」というが、あとは気持ちよく振るだけ!
「気持ちいいテンポとリズムは人それぞれだけど、彼は楽しくてパンパン打っているうちに、スバらしいテンポとリズムが身についたんだね。これだけ、いいテンポだとスウィングはおのずとシンプルになる。スウィング中、手をこうしてとか、クラブをこうしてとか寄り道するすきがないから、シャフトの威力を最大限に発揮できる。飛距離も出るし、アイアンのキレ味も半端ない。まれにいるんだ、型にはめない動きが自然とイントゥイン軌道となる天才が!」
同じ広島出身ということもあり武市は、旺希くんを「“マッシー”の再来」と表現した。
本人は「スタンスが狭すぎる?」と思っているようだが、「飛ばしたい気持ちが強くなると、スタンスを広くしたくなるんだが、狭いほうが回転スピードが上がるから、ボクはそのままでいいと思う」と武市。
「プロになりたい」ではなく「プロになります」という旺希くん。中学生の男子ジュニアはシャイな子も多いが彼は、「何か気づいた点はありませんか?」「今後どうしたらいいですか?」と武市に積極的に問いかける。スウィングだけでなく、向上心もトップクラスだ。それに対し、武市は「そのままでいいよ。あとはガンガン試合に出て、勝負強さを磨いて」とアドバイス。
「才能あふれるジュニアを見ると、こっちも本当に嬉しくなるね。今後の成長が本当に楽しみ」と気分よく取材現場を後にした。
週刊ゴルフダイジェスト2022年3月1日号より