【キミこそ王子だ】Vol.265 打っては270Y、投げては130km! 将来有望な“二刀流”中学生
雑巾王子こと武市悦宏プロが、全国の有望なジュニアゴルファーのもとを訪れ、大人ゴルファーにも役に立つゴルフのヒントを探る当連載。今回の王子候補は神奈川県出身、海老名市立有馬中学校2年の山崎咲寿くん。野球部で培った脚力と体幹力で豪快なスウィングを披露してくれた。将来はプロ野球とプロゴルフの二刀流!? 武市が迫る。
今回の王子候補
山崎 咲寿くん
やまざきさくとし ●主な戦歴/2021 全国中学校ゴルフ選手権 3位 ●ベストスコア/66(十里木CC) ●練習/毎日100球強 ●トレーニング/野球部でのトレーニング
祖父に勧められ小学2年のときにゴルフを始めた山崎咲寿くん。細身ながら長身でしっかりした体格のため、ドライバーの飛距離は270ヤードと中学生では飛ぶほうだ。
「細マッチョだね」
「体力づくりのために、野球部に入ってピッチャーやってます」
「すごい。球速はどのくらい?」
「130キロぐらいです」
「すごッ! 打って270ヤード、投げては130キロ。プロゴルファーとプロ野球の“二刀流”狙えるんじゃない(笑)」
「なりたいのはプロゴルファーです!」
過去にも、体力づくりのために運動部に所属している選手はいたが、野球部のピッチャーというのは咲寿くんが初めて。毎日、野球部の練習を終えたあと、ゴルフの練習をしているため、練習量は100球程度とさほど多くない。
「野球選手のなかでもピッチャーってゴルフが上手い印象だよね。投球とゴルフスウィングって共通点ある?」
「体重移動からのリリースタイミングというか……。ボールに力を伝えるコツみたいなのが似ているような気がします。ゴルフの場合、体重移動が正解かはわかりませんが」
という咲寿くんのゴルフスウィングを見て、武市は「身体能力の高さを感じる」と感心。
「特に、下半身の回転力がすごい。ワイドスタンスでこんなに速く振れる人はなかなかいないよ。飛距離が出るのも納得」
「そうですか? 最近、周りも飛ぶようになってきて、だいぶ追い上げられてます」
「咲寿くんは、アドレスで少しハンドレートに構えるのが特徴。そして、トップから右足を蹴って、下半身をすごい速度で回転させる。どのくらい速いかというと、飛球線後方から見たとき、インパクト前にお尻が全部見えるくらい。でも、上半身は開いてないので、振り遅れることはない。野球をやっているからかもしれないけど、どっちかというと体の右サイドでボールをさばいている印象。だから、ロフト通りに当たり、安定した飛距離が出せる」と武市。
ワイドスタンスは力が出しやすいぶん、軸ブレしやすいというデメリットがあるが、咲寿くんの場合は体幹がしっかりしているので、まったく問題なし!
「あと、アプローチを見て感じたけど、右手の使い方や左ひじの抜き方が絶妙で、フェースコントロールが上手だよね。やっぱり、ピッチャーやる人って器用だよね!」
「ありがとうございます。ショットもアプローチも、いろんな球筋を打ちたいと思っているので、今、勉強しています」
「いいね! 将来はどんなプロになりたいの?」
「世界でトップをとりたいです」
頼もしい発言の一方で、好きな食べ物は「レモンシャーベット」というかわいらしい一面も。
「これからも、レモンシャーベットでしっかりクエン酸を取って、野球とゴルフの両立頑張ってね」とエールを送る武市であった。
週刊ゴルフダイジェスト2022年1月11・18日合併号より