【キミこそ王子だ】Vol.262 お母さんは4年でHC1! 教わり上手で教え上手な有望ジュニア
雑巾王子こと武市悦宏プロが、全国の有望なジュニアゴルファーのもとを訪れ、大人ゴルファーにも役に立つゴルフのヒントを探る当連載。今回の王女候補は山梨県出身、富士川町立鰍沢中学校2年の長澤愛羅さんだ。キレイでシンプルなスウィングで今年「関東ジュニアゴルフ選手権」で優勝した逸材。その上手さの秘訣は? 武市が詳しく解説する。
今回の王女候補
長澤 愛羅さん
●主な戦歴/2021 関東ジュニアゴルフ選手権12~14歳の部 優勝 ●ベストスコア/68(千葉CC野田C) ●練習/毎日400~450球
プロゴルファーである叔父の影響を受け小学校1年からゴルフを始めた長澤愛羅さん。山梨県の重田栄作プロ(金子柱憲プロの帯同キャディとしても有名)に教わり、今年「関東ジュニア」で優勝するなど、頭角を現している。
「スウィングが“でら”キレイ! キレもあって飛距離も中学2年の女子にしては出るし。シンプルに上手い!」
スウィングを見るなりその才能に感心する武市。
「アプローチも打ってみて」とリクエストすると、これまた心地いい打球音に感動。
「コツンと乾いたいい音。ボールだけをとらえてる証拠だよね」
「ありがとうございます」
「意図的にボールだけを打つようにしているの?」
「はい」
「どうして?」
「打ち込んでしまうと、バックスピン量が増えてしまうので、そうならないように打ってます」
「じゃあ打ち込まず、ヘッドの入射角を緩やかにするには、どんなことを心掛けているの?」
「頭の高さを一定に。特に、ダウンスウィングで頭がボールに近づかないようにしています」
「スバラシイ! 愛羅ちゃんはインサイドアウト軌道のドローボールでヘッドの入射角も緩やかだからランもよく出るのが特徴。本人の意識するとおり、アドレスで頭の位置をボールより右側にセットしたら、その高さが変わらないようにインパクトしている。さらに、トップよりもフォローの大きいインサイドアッパー軌道なので、いわゆる高打ち出し低スピンの弾道で曲がらないし、ランも出せる」と絶賛。
しかし、愛羅ちゃんのスゴさはそれだけではない。
「どういうふうに動けば、どういう軌道になり、インパクトがどうなるか。そして、どんな球になるか、きちんと理解している」という武市。
よくよく話を聞いてみると、その理由がわかった。実は、彼女の母親は娘よりも遅くゴルフを始めたのだが、なんと4年でハンディ1まで上達した強者。
「お母さん、スゴすぎない?」
「重田プロが私に教えているのを横で聞いていて、それを実践したら上手くなったみたいです(笑)」
「愛羅ちゃんも教えたりする?」
「はい。気づいたことがあれば、言います。お母さんは、私より練習好きなんです」
「あ~、なるほど! 人に教えることは自分の学びにつながるよね。ボクもレッスンすることで、気づくことがいっぱいあるもん。愛羅ちゃんも、コーチに教えられるだけでなく、お母さんを教えることで、スウィング理論の理解を深めたわけだね。いい話だ!」
「そう、なんでしょうか(笑)」
「もともと、運動神経もいいんだろうけど、恐るべき親子だね(笑)。これからもふたりで切磋琢磨しながらがんばってね」
プロゴルファーの叔父、さらに4年でハンディ1まで上達した母親のDNAを持つ愛羅さん。これから先が実に楽しみな選手だ。
週刊ゴルフダイジェスト2021年11月30日号より