【キミこそ王子だ】Vol.252 ムダな動きが一切ない! 憧れの先輩の背中を追う北海道の高校生
雑巾王子こと武市悦宏プロが、全国の有望なジュニアゴルファーのもとを訪れ、大人ゴルファーにも役に立つゴルフのヒントを探る当連載。今回の王子候補は札幌光星高校2年生の島田温太(はると)くん。北海道高等学校ゴルフ選手権をはじめ、道内の大会で何度も優勝したことのある注目選手。そんな彼のスウィングを武市が解説する。
今回の王子候補
島田 温太くん
●主な戦歴/2021 北海道高等学校ゴルフ春季大会優勝 ●ベストスコア/68(札幌GC由仁C) ●練習/毎日300球~400球 ●トレーニング/週2回ランニングなど
北海道の男子ジュニア界でトップに立つ島田温太くんは、家族や親戚でゴルフをやる人が多かったこともあり、自然な流れでゴルフを始める。ちなみに、姉の紗さんも優秀なジュニアゴルファーで当コーナーでも紹介済み。現在、東北福祉大学ゴルフ部に在籍しプロを目指している。
温太くんが通う札幌光星高校は、先月ツアー初優勝を遂げた片岡尚之プロもOBのひとり。
「片岡プロとは交流があるの?」
「ずっと同じ練習場だったこともあり、憧れている大先輩です」
「ゴルフもうまいし、イケメンだし、憧れるよね」
「オーラがまぶしすぎて直視できません(笑)」
というシャイな温太くん。オフに片岡プロからもらった直筆のメッセージカードは宝物だそうだ。
そんな彼のスウィングを見て武市は「ムダなアクションがなく安定感バツグン」と評した。
スウィングの際に何に気をつけているかを聞くと「クラブの慣性力を邪魔しないこと」と答えた。要は、クラブが動き出したら、その動きを妨げないように努めているということだ。それを聞いた武市は「なるほど!」と納得。
「温太くんは、性格も大人しく温厚な感じだけど、スウィングもすごく静か。アドレスしたら静かに始動。意識的にコックを作ることもなく、クラブの動きに身をまかせながらバックスウィング。トップからの切り返しも、過度なアクションはなくクラブが下りてくるのを静かに待つ。ダウンからインパクトにかけても、どこか止めたり、コネたりすることはない。唯一、自分主体なのは、インパクト前後に左サイドでクラブを引っぱりヘッドを加速させていることぐらいかな。あとは、すべてクラブ主体の動きだから、流れがよくミート率もバツグン」と解説した。
クラブの動きに身を任せるというと、体が引っぱられてスウェイしそうだが、実はその逆で「何かアクションを加えようとすることで、軸がブレる」と武市。ダウンスウィングも、反動をつけたり、ムダなアクションを加えるから振り遅れるのであり、ジタバタせずヘッドが下りてくるのを待つことができれば、ヘッドはアドレスの位置にちゃんと戻ってくると武市はいう。
温太くん自身も、「切り返しは決して急がず待つこと」を肝に銘じているのだとか。
「躍動感のあるスウィングと、激しく動くスウィングというのは別。深い川は静かに流れるっていうけど、ゴルフも静かに動くほうが、逆に安定感があって力強く見える。温太くんはそんなスウィングだよね」
「ありがとうございます」
「高校卒業したらプロになるの?」
「片岡先輩と同じ、東北福祉大学に行きたいと思っています」
「身近にいい先輩がいるのは、すごくいいこと。がんばってね!」
小祝さくらプロ、片岡尚之プロなど、今ツアーでもアツい北海道出身の若手プロ。温太くんもその潮流に乗って活躍してくれることを願いたい!
週刊ゴルフダイジェスト2021年7月6日号より