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【TFCC損傷講座・前編】小祝さくらも離脱した手首のケガ。マット打ちでの“ダフリ”が原因って本当?

昨年、小祝さくらがシーズン後半戦を棒に振る原因となった手首のケガ、「TFCC損傷」。聞き馴染みがない症病名だが、いったいどのようなケガなのか。理学療法士に詳しく聞いてみた

PHOTO/ Tadashi Anezaki、Tsukasa Kobayashi、Yasuo Masuda THANKS /クレアゴルフフィールド

解説/渡邉純

SOL整形外科世田谷スポーツクリニック理学療法士。整形外科のリハビリテーションに従事し、多くのツアープロなどのメンテナンスに携わる。2020年東京オリンピックのサーフィンチームのメディカルトレーナーとして帯同し、メダリストをサポートした

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昨年7月の「大東建託・いい部屋ネットレディス」の2日目、2018年から休まず試合に出続けていた小祝さくらが左手首の痛みを訴え途中棄権。その後、左手首の手術をすることを表明し、昨シーズン終了までツアーを欠場することになり、連続出場も228試合でストップした。その左手首のケガこそ「TFCC損傷」だ。試合に出続けたタフな小祝を襲った「TFCC損傷」とは、どういったケガなのか。

今回、多くのツアープロや五輪チームにも同行歴がある理学療法士、渡邉純先生に話を聞いた。

「TFCC損傷とは、三角線維軟骨複合体の損傷で、『Triangular Fibrocartilage Complex』の略で広く『TFCC損傷』と呼ばれます。具体的に、手首の小指側にある軟骨と靭じんたい帯の3つの複合体で、小指側にある尺骨と呼ばれる突起した骨の脇のくぼみ辺りにあります。ゴルフやテニスなどの手を使うスポーツ、重たいものを運んだりする重労働や私生活などで、手首を繰り返し酷使した場合に小指側にある尺骨が突き上がってしまうことがあり、その際に小指側の複合体から手首を横切る靭帯の一つが突き上がった尺骨の上をゆがみながら横切ることになり、靭帯が緩んでしまう状態を『TFCC損傷』といいます」

左手首のレントゲンの比較

TFCC損傷とは?

手首の小指側の突起した「尺骨」の脇に存在する靭帯と軟骨3つの複合体からなる三角線維軟骨複合体( TFCC)の損傷。ひざの半月板のように衝撃を吸収する役割を担うが、手首の酷使で、尺骨が突き出てしまい、複合体からなる靭帯が湾曲し、緩んでしまう症状。手首の小指側に激痛が走ることもあれば、自覚症状が全くない場合も多い

さらに、詳しくTFCC損傷について教えてもらった。

「TFCC損傷の特徴として、尺骨が出っ張り、靭帯が緩んでしまっても、全く痛みに気付かないこともよくある話で、逆にゴルフはおろか私生活にも支障が出るくらい手首の小指側の激しい痛みに襲われることがあるのも特徴です。痛みが出てきた場合、実はその前からTFCC損傷になっていたケースがほとんどで、ひざやひじの靭帯損傷のように突発的な損傷ではなく、そのほとんどが長年の酷使による損傷です。

また、完治の定義が曖昧であることも特徴です。痛みがなくなることが完治なのか、手術をして修復することが完治なのか。小祝選手の場合、手術を選択しましたが実はまれなケースで、痛みが出ない療法を選択するケースが多数です。ゴルファーの場合、地面の衝撃やスウィングなどで手首に負荷がかかりやすく、決して人ごとのケガではないです。むしろ、もうなってしまっている人も多いかもしれず、その場合いつ痛みが出てくるかわからない怖さがあります」

後編では、「TFCC損傷」の具体的な予防や対策について紹介する。

鉄人・小祝さくらも昨年「TFCC損傷」でシーズン後半を欠場した

試合を休まないことで連続試合出場数を重ねた小祝だが、「今までに感じたことがない痛みで、左手でドアを開けることも大変でした」と小祝。これからの長いゴルフ人生のために、手術に踏み切り、昨シーズンの約半分の試合を欠場した

ゴルファーが
TFCC損傷になってしまう3つの原因

トップからの強い切り返し

トップからの切り返しの際、強い負荷が手首にかかり、それが続くことで、症状が出てしまう。特にハードヒッターやオーバースウィングのゴルファーは負荷が強い

繰り返しのダフリ

クラブが地面に接地した際に強い衝撃が手首にかかる。特に、練習場のダフリはマットの下がコンクリートの場合が多く、突き上げが強くなり、手首への負荷が大きい

右手を返す動き

アマチュアは右手を必要以上に返してしまう人も多いが、このケースも手首にかかる負荷が強い。通常右利きの場合、左手で発症するがこの場合は右手が発症する

 

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週刊ゴルフダイジェスト2026年3月17日号より