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【キミこそ王子だ】Vol.353「トップまで上げたら、あとは『行け~!』」躍動感あふれるスウィングで飛ばす東北の逸材

雑巾王子こと武市悦宏プロが、全国の有望なジュニアゴルファーのもとを訪れ、大人ゴルファーにも役に立つゴルフのヒントを探る当連載。今回の王女候補は山形県出身、東北高等学校3年の中野杏さん。自慢の飛距離を武器に2024年「東北ジュニアゴルフ選手権」を制した逸材。武市は彼女の飛ばしの秘訣を探るべく東北へGO!

今回の王女候補

中野 杏さん

なかの・あん ●主な戦歴/2024 東北ジュニアゴルフ選手権優勝 ●ベストスコア/67(サンヒルズCC) ●練習/毎日200球 ●トレーニング/寮から練習場までランニング約3キロ


ゴルフが好きな父親の影響で、小1からゴルフを始めた中野杏さん。小3の頃から試合に参戦すると、恵まれた体格を生かし、メキメキと上達。高校から故郷の山形県を離れ、ゴルフ部名門の東北高校に進学した。

練習場でスウィングを見た武市は「すっごく躍動感がある。本当に飛ぶね〜」と感心。

「ありがとうございます!」 

弾ける笑顔で迎えてくれた杏さん。球筋は高弾道のドローで、ドライバーの飛距離は約250ヤードだ。

「飛ばしのコツは?」

「う〜ん、あまり複雑なことは考えていません。とにかくトップまで上げたら、あとは『行け〜!』って感じで振るだけです」

「餅つきだね(笑)」

「なんですか、それ?」

「ほら、餅つきって重たいきねを、とりあえず持ち上げたら、あとはドーンって落とすだけでしょ。ちょっとでも変な方向に持ち上げるとバランスを崩して上手くつけない。でも、程よいポジションに持ち上げ、リズムよくできれば、あとは何も考えなくても思い切り叩ける。つまり、きねを上げるまでが最大の仕事なんだよね」


「確かに! 私は体重移動とかもあまり意識せずその場で回転するタイプなのでちょっと餅つきと似ているかもしれません(笑)」

「杏ちゃんなりに、程よいポジションに上げるコツはあるの?」

「インサイドにヒョイッと上げるのではなく、若干アウトサイドに上げるようにはしています」

「そうだね。クラブはインに上げると外から下りてくるし、逆にアウトに上げれば体の内側から下りてくる。杏ちゃんはこの至極シンプルな理論をきちんと理解し、意識的にアウト気味に上げてドロー軌道を確保している。あと、あれだけ飛ぶ原動力はトップから切り返しにかけて腰を徐々に速く回転していること。そのために、トップからの切り返しで左足で地面を踏む、いわゆる“地面反力”を使って回転力に変換してる。だから飛距離も効率よく出せているのだと思う。あと、とても柔軟性があるから無理なく体の内側からクラブが下りてくる点もいい!」 

筋力トレーニングはしていないが、見るからに体幹がしっかりしている杏さん。バランスよくフィニッシュまで振り切れているのは、そんなところも功を奏しているようだ。

「両親がスノーボード選手だったので、ゴルフをやる前、ちょっとだけスノーボードやったり、スケボーもスケートパークでやってました」

「スゴイ! だから体幹がしっかりしているのかも。両親のDNAに感謝だね」

「はい(笑)」

「これからの目標は?」

「プロになるには、もう少しコースマネジメントやメンタル面を勉強しなければと思ってます。いろんな人と出会い刺激をもらい、成長につなげたいです! あとは、運転免許を取って自分の運転で試合会場に行ってみたいです」 

輝く未来に向かって『行け〜!』と応援する武市であった。

週刊ゴルフダイジェスト2025年8月19・26日合併号より