【企業ゴルフ選士】ワールドフィット・出原佳代子さん「『下手くそは走れ!』父の教えも今は納得」

戦うだけのゴルファーではなく、会社に認められ、選ばれたゴルファーである“企業ゴルフ選士”をクローズアップ。今回は、ワールドフィットの出原佳代子さん。
ORGANIZER/Hironori Kogure PHOTO/Tsukasa Kobayashi THANKS/ボールパーク

ワールドフィット
経営企画チーム
広報組織
開発ユニットリーダー
出原佳代子さん
大学時代はラクロスに没頭し、4年生で社会人チームも倒し真の日本一を達成。その後ゴルフ好きの父からの勧めもあり、ゴルフを始める。まだスコアは90前後だが、「いつかは競技」と練習に励む毎日

ワールドフィット
アスレジャーアパレルブランド【CRONOS】を運営。【CRONOS BLACK】では機能性と洗練されたデザインを融合したハイエンドなゴルフウェアを展開。コースでも日常でも映えるスタイルが、大人のゴルフライフに新たな選択肢をもたらす。今夏には、表参道に旗艦店をオープン予定
ゴルフ部創立をもくろむ
会社きってのアスリート
プライベートジムの運営やアスリート向けのアパレルを展開する同社で広報活動や組織体制の構築に携わる出原佳代子さんは、「仕方なく始めた」というゴルフに魅了され、いつしか社内でゴルフ部を作りたいと思うまでになった。ゴルフ歴7年、本気で打ち込んで2年目のフレッシャーが、なぜここまで入れ込むようになったのだろう。
「ひとことで言えばアスリート魂でしょうか。私は大学時代ラクロス部で日本一を目指していました。大学時代ゴルフ部に入っていた父は私をゴルフ部に入れたかったようですが、耳を貸さず……(笑)、勉強も二の次で頑張りました」
と出原さん。好きなことを精いっぱいやらせてもらったこともあり、「父の望みにも応えるために」とラクロス部を引退した翌週にゴルフショップへ行き、セットを揃えた。初めて手にしたゴルフクラブはテーラーメイドの初心者セット。見た目がカッコいいという単純な理由だった。
「そこから2、3カ月は父がメンバーの東京GCへ行っていました。ただ、父はとてもマナーにうるさい人で、『下手くそは素振りするな!』と言うんです。一日中コース内を走らされて“やらされている感”しかありませんでした。卒業後は外資の金融機関へ就職し、接待ゴルフも多かったことからゴルフは身近になりましたが、歳の離れた方と回る機会が多く、正直言って楽しいとは……」
あまり良いスタートを切ったとはいえないが、同世代の友人たちが次第にゴルフを始めるようになり、次々に上達していくのを目の当たりにしたことで、出原さんの負けず嫌いに火がつくことになる。
上手くなるごとに
楽しくなる
「ゴルフを始めて4年目くらいのスコアは120前後でしたが、一方で100を切っている友人もいました。『私もそういうところを目指さないといけないな』と思い、練習へ行く回数が増えました」
その成果もあり、翌年には100切りを達成するも、仕事も多忙で不規則だったことから、思うように練習へ行くことはできなかった。上手くなったと思いきや次は100叩き。行っては戻るを繰り返していたが、転職が“ゴルフの壁”を突き破るきっかけとなった。
「ありがたいことに今の会社は比較的時間の自由が利くこともあって、仕事前や帰宅後に練習できるようになったんです。そうこうするうち安定して100を切れるようになり、楽しさも増しました。以前は年配の方とラウンドしても気を使ってばかりであまり面白くありませんでしたが、今は『年代問わず一生できるスポーツってゴルフくらいしかない』と思うようになり、新たな魅力を感じているところです」
“競技者の自分”が
視野に入ってきた
嫌なはずだった父の口癖も、最近は骨身に染みてきた。
「私が下手なせいで、せっかくの休日を楽しみに来た他のプレーヤーに不快な思いをさせるのは良くない、ということだったんです。姉も母もゴルフをしますが、私の家族は女3人素振りなしです(笑)」
現在は90前後で回る出原さんが一番叶えたい夢は、ゴルフを始めるきっかけを与えてくれた父をスコアで倒すこと。さらに上手くなったら試合にも出てみたいと言う。
「一人だったら始めていなかったので、父の“しつこい”ひと言に、今となっては感謝です。おかげで部署を越えた上司に誘っていただいたり、学生時代はあまり親しくなかった人から声を掛けられたり、交友関係が広がりました」
以前、この連載で紹介した同社の遠藤浩太郎さんも25歳。若手だらけのゴルフ部が誕生する日も近い?
出原佳代子さんのクラブセッティング


週刊ゴルフダイジェスト2025年4月1日号より