【企業ゴルフ選士】Vol.17 東急リゾーツ&ステイ・大塚健司さん「僕の強みは“ゴルフ愛”。それを仕事で生かしたい」
戦うだけのゴルファーではなく、会社に認められ、選ばれたゴルファーである“企業ゴルフ選士”をクローズアップ。今回の選士は東急リゾーツ&ステイの大塚健司さん。
ORGANIZER/Hironori Kogure PHOTO/Tsukasa Kobayashi THANKS/那須国際CC
今週の選士
東急リゾーツ&ステイ
地域創造/ゴルフ/スキー事業ディビジョン
副ディビジョン長
大塚 健司さん
高校1年でゴルフを始め、現在ハンディキャップ7の腕前。大学時代は就職のため「さまざまな経験をしたい」と、塾講師からゴルフ雑誌の編集まで、多様なアルバイトを経験。現在は同社でゴルフ場関連の業務を行う
東急リゾーツ&ステイ株式会社
東急不動産グループのリゾート運営企業として、ゴルフ場を国内で17施設運営しているほか、会員制ホテルの東急ハーヴェストクラブや東急ステイ、スキー場など、全国で100を超えるリゾート施設の運営を通じて豊かな時間と体験を提供している
スコアだけじゃない
別の形の“エース”
東急不動産グループでゴルフ場運営に携わる大塚さんは、立教高校1年でゴルフを始めて以来、月2〜3回のラウンドを楽しむシングルプレーヤー。メンバーである鶴舞CCでは時折クラブ競技に出場し、2020年からは日経カップにも毎年出場しているが、「そこまで上昇志向はないんです」と至って控えめだ。それにもかかわらず、同社にとって不可欠な“ゴルフ選士”であることには理由がある。
「さまざまな選択肢を模索するために、大学では体育会を選ばずゴルフサークルへ入りました。授業やサークル活動の合間にいろいろなアルバイトをしましたが、1年間ほど月刊ゴルフダイジェスト編集部で働いたこともあるんですよ」
まさかの偶然だが、とにかくゴルフから離れたくなかったという。その後税理士資格を取り、会計事務所を経て26歳で東急不動産へ就職した。
「5年ほど前まで財務部でIR関連の業務を行っていたのですが、配置転換の話が出たとき、ゴルフ関連の仕事がしたいと申し出ました。弊社は当時全国に24カ所のゴルフ場を運営していて自分なりに思うところもあり、気合が入っていましたね」
リストラ担当から
事業活性化の旗手へ
しかし、現実は思ったようにいかなかった。
「いざふたを開けてみると、ゴルフ事業の選択と集中を迫られている状況でした。当社グループの強みが生かせるゴルフ場と他社様にお任せするゴルフ場に分けて、一部のゴルフ場については信頼できる企業へ経営権を譲渡しました」
グループに残るゴルフ場については本気で頑張ろうと、大塚さんは直接ゴルフ場を運営する東急リゾーツ&ステイにも籍を置き、運営にも携わっていたが、当時の社内にはゴルフ事業に後ろ向きな空気も漂っていたという。そこで大塚さんは1つの手を打った。東急リゾーツ&ステイの日経カップ出場だ。
「明確な目標を設定し、わかりやすい取り組みをすることで従業員の方々に団結してもらいたいという社内的なものと、ゴルフ事業に力を入れているということを社外的にアピールする2つの目的がありました」
幸い当時の担当役員のサポートもあり、ベストメンバーで臨むべく保有コースを奔走。さらに「旗振り役が口だけじゃダメだ」と自身も選考ラウンドに名を連ね、実力でメンバー入りを果たした。
さまざまな想いを持って出場した日経カップだったが、19年の初戦は予選落ち。5回目の出場となった23年、ようやく念願の決勝進出を果たした。大塚さんのスコアは“コメ”に終わったが、それでも社内での理解が深まり、横のつながりが強化された今の状況に大満足だという。
仕事も趣味も
“ゴルフ一本”
「私は選手として爪痕を残せるようなゴルファーではありません。でもゴルフ場経営の分野で、何かしらの結果を残せればと思っています」
そんな大塚さんは現在、同社が運営する那須国際CCのクラブハウス建て替えプロジェクトを進めている真っ最中だ。
「ハウスの機能をコンパクトにし、非ゴルファーも宿泊できる施設を併設する予定です。那須国際のクラブハウスを起点に、ゴルファーと非ゴルファーの交流の場ができれば楽しいじゃないですか。現在、多くのゴルフ場はバブル期に造った大規模なクラブハウスの維持に悩まされていますが、こういった業界的な課題を解決するモデルケースになってくれたりしたら、これ以上嬉しいことはないですね」
と語る目の奥に、決してスコアだけではない“ゴルフ馬鹿”の生きる道が垣間見えた。
大塚健司さんの14本セッティング
週刊ゴルフダイジェスト2024年12月17日号より