【企業ゴルフ選士】Vol.16 東急リゾーツ&ステイ・松本友恵さん「まわりから『すごい』と言われたくて…」
戦うだけのゴルファーではなく、会社に認められ、選ばれたゴルファーである“企業ゴルフ選士”をクローズアップ。今回の選士は東急リゾーツ&ステイの松本友恵さん。
ORGANIZER/Hironori Kogure PHOTO/Tsukasa Kobayashi THANKS/那須国際CC
今週の選士
東急リゾーツ&ステイ
フロント
松本 友恵さん
小1でゴルフを始め、高校時代は作新学院ゴルフ部へ入部。歯科助手時代はエンジョイゴルファーとしてゴルフを楽しんでいたが、試合で活躍したい一心で同社へ。現在は個人戦、団体戦問わず多くの大会に出場する
東急リゾーツ&ステイ株式会社
東急不動産グループのリゾート運営企業として、ゴルフ場を国内で17施設運営しているほか、会員制ホテルの東急ハーヴェストクラブや東急ステイ、スキー場など、全国で100を超えるリゾート施設の運営を通じて豊かな時間と体験を提供している
試合が好きすぎる
那須国際の看板ガール
那須国際CCでフロント業務に携わる松本友恵さんは、9年前に東急リゾーツ&ステイが運営する同CCへ入社。初出場となった今年の日経カップでは同社の代表として83のスコアを記録し、ほかにも自身が所属する那須CCの代表として俱楽部対抗戦に出場したり、栃木県ミッドアマや栃木県知事杯、栃木県社会人アマ、関東女子ミッドアマなどにも出場する、筋金入りの競技女子だ。
「毎日仕事をしたうえで自分の好きなゴルフに没頭できる、今の環境にすごく満足しています」と笑顔で答える松本さんは、それまで地元で歯科助手として働いていた。しかし20歳頃から「試合に出たい」という気持ちが強まっていき、試合へ出場するため平日の休暇を打診したこともあったというが、休日が固定されていることから夢は叶わなかった。
「以前、那須国際で正社員の募集をしていたのを覚えていて、それからずっと求人を待って。ご縁があって入社させていただきました」
そこからは週3日は営業を終えたコースでラウンド。「仕事が大変なときは、最低でもアプローチかパットだけは欠かさない」と燃えに燃えるが、なぜそこまで試合に固執するようになったのだろう。
“藍ちゃん”に憧れ
夢を抱いた学生時代
松本さんがゴルフを始めたのは小1の頃。父親に連れられ、近所の練習場で大人用のクラブを握ったのがきっかけだ。
「うまく打つと周りの人に『すごい!』と言われるのが気持ち良かったのを覚えています。中学生の頃は宮里藍さんブームで、試合(05年リゾートトラストレディス)でグランディ那須白河へ来るというので、父と見に行ったんです。そこで刺激されジュニア教室へ通うようになりました」
鉄は熱いうちに打てとばかりに行動するも、原動力は“憧れ”だけ。強豪として知られる作新学院のゴルフ部へ入った松本さんは、現実の厳しさを見せつけられた。
「短期間でゴルフ部をやめました。『もう見たくない』とクラブを物置に入れ、卒業後はゴルフに関係のない職業を選びました」
ここでゴルフ人生は終了……と思いきや、偶然再会したジュニア教室時代の恩師・伊東弘昭プロが、松本さんに現実的な“道”を示してくれたという。
「私はそれまで『藍ちゃんみたいになるにはプロになるしかない』と考え、研修生になろうと思った時期もありましたが、プロの世界はそんなに甘いものじゃないと。アマチュア競技の楽しさを教えてくれたんです」
そこからは猪突猛進。松本さんは栃木県でも名の知れたトップアマへと成長していく。
「個人戦よりも今は
団体戦が燃えるんです」
進むべき方向は決まった。
「そこからは男女問わず、上位の方に自分から話を聞きに行ったりラウンドをお願いして、吸収できるものは全部吸収するぞ! って。上手い方はトレーニングにも力を入れているということを知り、ジムにも通い始めました。2、3年以内に何かの試合で1勝したいです」
モチベーションの原動力を聞くと、「周囲からすごいと言われたい!」と松本さん。その純粋な欲求は小学校時代から何ら変わらないが、最近、もう1つ背中を押す存在ができた。
「会社を代表して団体戦に出ることです。9年前の面接で、私はゴルフをもっとやりたいと言いましたが、採用側には『仕事がおろそかになるのでは』という意見もあったそうです。でも結局入れていただくことになって。それに恩返ししたい一心で今年の日経カップは頑張りました。今は団体戦のほうが燃えるんです」
少女時代の夢に続くレールに乗った松本さんの猛進は止まらない。
松本友恵さんの14本セッティング
週刊ゴルフダイジェスト2024年12月10日号より