【企業ゴルフ選士】Vol.5 明治・柴山俊博さん「駐在中に仕方なく始めたゴルフが、今や仕事の起爆剤です」
戦うだけのゴルファーではなく、会社に認められ、選ばれたゴルファーである“企業ゴルフ選士”をクローズアップ。今回の選士は明治の柴山俊博さん。
ORGANIZER/Hironori Kogure PHOTO/Tsukasa Kobayashi THANKS/筑波CC
今週の選士
株式会社明治
グローバルニュートリション 事業本部
ニュートリション 開発部長
柴山 俊博さん
海外赴任中に「やることがない」という理由からゴルフを始めたが、今やチームに欠かせない存在。ちなみに“ニュートリション”とは食物の栄養や健康に与える効果を指し、これらの事業戦略を練る部署で開発部長を務める。
株式会社明治
2009年に明治製菓(株)と明治乳業(株)が経営統合し、2011年のグループ再編で誕生。創業の精神「栄養報国」に基づき、粉ミルク、牛乳・乳製品、菓子、スポーツ栄養、流動食など赤ちゃんから高齢者まで世界中に「おいしさ・楽しさ・健康・安心」を届けている
“海外赴任ゴルファー”から
日経カップ代表選手へ
明治のグローバルニュートリション事業本部でニュートリション開発部長を務める柴山俊博さんは、小倉高校から九州大学農学部を経て同社へ入社したが、学生時代はもとより入社してから数年後までクラブを握った経験は一切なかった。26歳のときに海外駐在を命じられ、赴任したのがオーストラリア・メルボルン郊外の酪農地帯で付近は牧草地だけ。休日のレクリエーション施設といえばゴルフ場しかなく、「やむなく始めた」というゴルフだったが、全くの自己流で最初のスコアは170くらいだったという。それが6年間の駐在を終えて帰国するころには80前後で回る腕前に。駐在員ゴルファーあるあるを地で行く人生を送ってきた。
そして今年7月、50歳にして初めて(企業対抗ゴルフ)日経カップの代表選手に。仕事とゴルフの両輪で社会の荒波を乗り切ってきた、これぞ“サラリーマンゴルファーの鑑”だ。
「オーストラリアでは、土日のどちらかをスルーでプレー。年間30ラウンド前後していましたね」
いまやJGAハンディ5.6の腕前になり、ドライバーの飛距離は250ヤード以上。「始めたのが遅く、スウィングが自己流だったので、いまもインドアの練習場に通って、時おりレッスンプロに見てもらっています」と言うが、上達の秘訣はどこにあるのだろうか。
出社前に集中して
“50球”完結練習
練習は週に5回。40分から1時間かけて球を打つ。
「私の場合は朝型です。平日は朝5時に練習場へ行き、6時に帰宅。自宅での練習も行い、それから準備して出社します。会社の始業は9時からなので、十分間に合います」
朝5時に練習場に行くのは「打席料がかからないから」というが、その練習内容に工夫がある。1時間近く練習場に滞在しながら、打つのは50球だけだ。
「日経カップの試合当日、練習で打てるのが24球なのです。だから基本的に24球でベストショットが出るよう、ふだんから24球を集中して打つ。残りの26球は当たりが悪かったり、気になる球が出たクラブを再チェックするための、いわば予備球。50球も打つと集中力は落ちてきますし、ちょうど良いですよ」
かつては100球近く打つこともあったが、いまは50球の完結型だ。気持ちはまさに“常在戦場”。出社後の仕事への余力も十分残しての合理的練習法なのである。
自分の役割を
ミスなくこなす
練習場での練習はショットを主体に、自宅ではパターマットを使って短い距離の練習をする。
「スコアを作るのにもっとも大事なのがアプローチだと考えているので、マットを使ってクラブヘッドの入り方やフェース面へのボールの乗り方をチェックします。もし失敗したら、原因を考えながらパター10分、アプローチを5分。夜はお酒を飲むので、自宅での練習は毎朝練習場から帰ってきてから。朝のうちに完結します」
そこまでやるのはほかでもない、選手としてチームに貢献するという明確な目標があるからであり、自分なりの“算定”も済ませてある。
「出場4名中3名の合計スコアで順位が決まります。おそらく合計スコアが235前後ならシードを取れ、240で予選通過できる。つまり1人平均80で回ればいける。エースに頑張って70台を出してもらい、我々は80で回るよう集中するのみです」
過去に原料購買部へ在籍していたときは「日経カップ常連の商社マンと打ち解け、ゴルフが仕事の促進剤になりました」。ゴルフが仕事を助け、仕事がゴルフへの励みになる。これぞサラリーマンゴルフの鑑だ。
柴山俊博さんの14本セッティング
週刊ゴルフダイジェスト2024年9月24日号より