雑巾王子こと武市悦宏プロが、全国の有望なジュニアゴルファーのもとを訪れ、大人ゴルファーにも役に立つゴルフのヒントを探る当連載。今回の王子候補は愛知県出身、瀬戸市立水無瀬中学校2年の加藤金次郎くん。6月末に行われた「日本アマ」に最年少選手として出場し話題となった彼。中学生とは思えない球さばきに武市感動!

今回の王子候補

加藤金次郎くん

かとう・きんじろう　●主な戦歴／2024中部アマチュアゴルフ選手権10位タイ　●ベストスコア／63（大甲賀CC油日C） ●練習／1時間30分　200球　●トレーニング／なし

父親に勧められ6歳でゴルフを始めた加藤金次郎くん。小学生の頃から数々の試合で優秀な成績を収めていて、ジュニア界では知らない人がいないほど、超有名な選手。先日も中2ながら「日本アマチュアゴルフ選手権」に出場した。

武市も同じ中部地方出身であることから、名前は知っていたが生でスウィングを見たのは今回が初めて。

「うわ～天才だって噂は聞いていたけど、本当に天才やね!」

金次郎くんの完成されたスウィングに度肝を抜かれ興奮気味だ。「迫力あるしヘッドの走らせ方が上手いし、再現性も高いし、球の打ち分けも上手だし……とにかく魅力的!」

中学生といえば、ゴルフを始めて10年もたっていないジュニアが多い。若いのでキレがあり、スウィングもフレッシュな印象を受けるが、一方で金次郎君は…!?

「もちろん金次郎くんもフレッシュなんだけど、ガチガチに固めて打つ感じではない。独特な柔らかさがあって、なんか他の選手にはない手だれた印象がある」

とうなる武市。

その正体を探るべくいろいろ質問してみると、あるエピソードを話してくれた金次郎くん。

「小6の頃、タイでゴルフ合宿をしました。そのとき奥田靖己プロにアドバイスをもらう機会があって、『あ～っ!』って思ったんです」

「なんかひらめいたの?　奥田プロといえば、ゆるゆるグリップだよね?」

「はい。『柔らかく握ると、いろんな球を操れるようになるよ』と言われました」

「でも金次郎くんは、めちゃくちゃ緩く握ってはないよね?　もちろんきつくもないけど」

「そうなんです。でも、なんかそのときの奥田プロのスウィングや言葉にビビッときたというか」

「いろんなことが腑に落ちたんだ」

「はい」

「それを聞いて、なんとなくボクも納得。金次郎くんのスウィングは、脚はクローズ、上体はスクエアに構え、そのまま体の回転とともに左に振り抜くのが特徴。股関節周りも柔らかいから、体が全く開かない。だからヘッドも走るし、効率的にパワーをボールに伝えることができている。そして左に振り抜くスウィングはインサイドアウト軌道と比べるとフェースローテーションが少なくなるから、フェース面が変わらず精度も抜群!　言葉で説明すると、こんな感じで、特に変わってはいない。ただ、言葉では表しきれない、彼独特のヘッドの走らせ方や球のさばき方があって、それが本当に素晴らしい。もともとセンスがいいこともあるんだろうけど、奥田プロのスウィングを近くで見て、そしてアドバイスをもらった経験も大きいかもね。金次郎くんの中でビビッと感じた何かを、自分なりにスウィングに落とし込んだ。その感性にアッパレだよ」と武市。

目標はもちろん世界!

まだ中学生なので具体的なことは未定だが、素質は十分。

「めちゃ注目してるからがんばって」とエールを送る武市であった。

週刊ゴルフダイジェスト2024年7月30日号より