【キミこそ王子だ】Vol.316 インパクトの“音”に惚れ惚れ! 中1で関西中学チャンプに輝いた注目女子
雑巾王子こと武市悦宏プロが、全国の有望なジュニアゴルファーのもとを訪れ、大人ゴルファーにも役に立つゴルフのヒントを探る当連載。今回の王女候補は兵庫県出身、宝塚市立宝塚中学校1年の本村紅音さん。美しい高弾道ドローと心地よいインパクト音が特徴の彼女。そんな見てよし聞いてよしのスウィングに武市絶賛!
今回の王女候補
本村 紅音さん
もとむら・あかね ●主な戦歴/2023関西中学校ゴルフ選手権優勝 ●ベストスコア 64(ダンロップGC) ●トレーニング/体幹トレーニング(週1回) ●練習/毎日250球・1時間30分etc
7歳からゴルフを始め、中1の今年「関西中学校ゴルフ選手権」を制した本村紅音さん。
スウィングを見て、武市が最初に感心したのは“音”。
「インパクト音がいいね~。ヘッドが上から入りすぎたりカットに当たったりせず、ロフト通りに当たっている証拠だね」と褒めた。
聞くところによると、小3くらいまで父親の提案によりベースボールグリップで練習していたとのこと。
「小さいときは力がないから、ダウンスウィングでクラブが寝やすい。でもベースボールグリップは、クラブを立てやすいので、右手でボールを叩けるのが利点。そういう意味で子どもがベースボールグリップでゴルフを覚えるのは正解」と武市。
現在はインターロッキングだが、幼少期に身につけたボールをとらえる感覚が現在の力強い振りにつながっているようだ。
球筋は高弾道ドロー。飛距離も出るしグリーンで球が止まりやすいので、きっとバーディチャンスも多いはずだ。
さらに武市が着目したのは、インパクトでの右ひざの向きだ。
「一般的なアマチュアは、インパクト後に右ひざが飛球線方向へ流れてしまい、そのままフィニッシュへと向かう。でも彼女は、インパクトで右ひざが流れることはなくアドレスのポジションをキープしている。だから、ロフト通りに球をとらえることができる。さらに、ひざを含めた右足全体が加速した動きにブレーキをかけるからヘッドも走る。これは、まさにボクが提唱している“ツイスト打法”そのものなんだけど……知ってる?(笑)」
「ツイストは意識していませんが、インパクトしたら5センチだけヘッドが前に出ていく感覚を大切にしています」
「へ~。ということは、手とヘッドを一緒に加速させたくないってことだよね」
「はい」
「それには、やっぱり下半身が一瞬止まって体の正面で打つことが大前提となるから、イメージと動きが一致しているよね。中1でそこまで考えてスウィングに反映させているなんてスバらしい!」
将来の夢は「プロになって賞金女王になること」という紅音さん。それに向けて、これまでいろいろなコーチからアドバイスをもらっているそうだが、そこには彼女なりのこだわりがある。
「私の場合、男性コーチより女性のコーチが合っているようです」
「ほぅ、どうして?」
「今の私の体力や筋力に合ったアドバイスをしてくれるからです」
「なるほどね。もちろん、一概には言えないと思うけど、そういうふうに“感じる”ってことがスゴイ。言われるがまま実践しているジュニアも少なくないけど、紅音ちゃんには自分なりのこだわりがあるんだね。ボクが個人的に好きなスウィングでもあるし、これからも注目しているからがんばって!」
「ありがとうございます」
またしても将来楽しみな選手の出現に、ワクワクが止まらない武市であった。
週刊ゴルフダイジェスト2023年12月26日号より