【キミこそ王子だ】Vol.315 シャフトの使い方が抜群に上手い! 飛ばしのセンスあふれる中2女子
雑巾王子こと武市悦宏プロが、全国の有望なジュニアゴルファーのもとを訪れ、大人ゴルファーにも役に立つゴルフのヒントを探る当連載。今回の王女候補は、兵庫県出身、高砂市立竜山中学校2年の佐藤涼音さん。持って生まれた球勘の良さで中学生とは思えない飛距離を出す彼女。そのスウィングに武市は釘付けに!
今回の王女候補
佐藤 涼音さん
さとう・りの ●主な戦歴/2023日本ジュニアゴルフ選手権12~14歳の部4位タイ ●ベストスコア 63(東条の森CC) ●トレーニング/なし ●練習/毎日30分120球
佐藤涼音さんが、初めてクラブを握ったのは小4のとき。バラエティ番組に出演している黄金世代の女子プロを見て「カッコイイな」と思ったのがキッカケ。それまで、兄の影響で野球をやっていたので球勘が良く、最初から難なく球をとらえることができたそうだ。
「ゴルフは止まっているボールを打つのでそんなに難しいと思ったことはないです」
「ほんと! すごい感性の持ち主だよ!」
屈託のない涼音さんの発言に、ハッとさせられる武市。
その間もテンポ良く球を打つ涼音さん。練習時間はいつも30分とジュニアゴルファーのなかでは圧倒的に短い。
「毎回、同じ条件で打つ練習場での練習はあまり好きじゃないです。やっぱりコースのほうが断然楽しいし」
短い練習時間のなかでもメインはアプローチ。ドライバーは数球しか打たないとのことだがそのドライバーショットを見て、武市は驚愕した。
「マジで飛ぶね。中学女子では間違いなく3本の指に入るよね」
「飛ぶほうだとは思います」
控えめに見ても、250ヤードは飛んでいる。
「飛ばす秘訣は何?」
「昔、コーチに『シャフトをムチのように使ったほうがいい』と言われたのでそんなイメージで打っています」
「おっしゃる通りシャフトの使い方が超ウマい!!」
某シャフトメーカーのアンバサダーとして、日々シャフトの研究をしている武市は、食い入るようにスウィングを見つめる。そして、次のように解説した。
「シャフトを上手く使うための絶対条件のひとつに、“グリップをギュッと握らないこと”というのがあるのだけど、涼音ちゃんは当然できている。そして、トップからダウンスウィングに入る切り返しの間”がサイコー。彼女は背が高くトップも高い。そのうえで体がとても柔軟なので、背中が反っているのが特徴。で、その背中の反りがダウンスウィングで戻るまでに“間”ができるから、クラブがインサイドから下りてきやすい。そこに、タイミング良くシャフトがしなりながら下りてくるので、ナチュラルなドローボールとなる。体とシャフトがバッチリ同調していて動きがとても滑らか、かつテンポがいいからキレもある。これが飛ぶ秘訣だね」
もちろん、努力次第で飛距離を伸ばすことは可能だ。でも、涼音さんの飛ばしは、「持って生まれた才能に近い」とセンスを絶賛した。
好きな選手はタイガー・ウッズだという涼音さん。
「試合での神ショット、本当にカッコイイです。あれを見ると、練習嫌いな私も練習したくなります」と笑う。
「涼音さんのドライバーショットもなかなか神懸かっているよ」
黄金世代を見て育った選手の成長っぷりに驚きながらも、期待を膨らませる武市であった。
週刊ゴルフダイジェスト2023年12月12日号より