【キミこそ王子だ】Vol.313 イ・ボミに感銘を受け「夢は賞金女王」! 柔らかなスウィングが武器の東北チャンプ
雑巾王子こと武市悦宏プロが、全国の有望なジュニアゴルファーのもとを訪れ、大人ゴルファーにも役に立つゴルフのヒントを探る当連載。今回の王女候補は宮城県出身、仙台市立寺岡中学校2年の寺本朱利さんだ。「東北ジュニア」や「宮城県ジュニア」を制する東北きっての名選手。その滑らかなスウィングに武市脱帽!
今回の王女候補
寺本 朱利さん
てらもと・あかり ●主な戦歴/2023東北ジュニアゴルフ選手権優勝 ●ベストスコア 66(松島チサンCC) ●トレーニング/ストレッチマシーン毎日、ピラティスなど ●練習/毎日150球 90分、アプローチ&パター数時間
小1のとき習い事のひとつとしてゴルフを始めた寺本朱利さん。
「最初から楽しかった?」
「はい。小2の作文に『プロになって賞金女王になりたい』って書きました」
「そんな前からプロになりたいと思ったんだ。スゴイね~」
聞くところによると、当時イ・ボミ選手の著書『ゴルフ賞金女王イ・ボミのおしえ』を読み、感銘を受けたのだとか。以来、気持ちがブレることなくプロを目指し鍛錬を重ねている。
師匠は、鈴木愛プロほか、多くのトーナメントプロやジュニアを指導する南秀樹氏だ。住んでいる宮城県仙台市から定期的に南プロの拠点である香川県高松市に通っている。小5のときに、あるテレビ番組で南プロの存在を知り、「この人に習いたい!」と親にお願いしたそうだ。
「そう言われてみれば、パッティングのアドレスが鈴木愛プロに似ているね」
「真似してはいないんですけどね」
「スウィング中に一番意識していることは?」
「リズムとテンポです。打ち急がないようにトップで一瞬、止まるような感覚を大事にしています」
とはいえ、朱利さんのスウィングは、滑らかでよどみない。
「柔らかいね~。典型的なスウィンガータイプ。スウィング中、急発進や急ブレーキをかけるポイントが、どこにもない。朱利ちゃんは『トップで一瞬止まる』と言っていたけど、決して全身が止まっているわけじゃない。トップで手が止まっているように見えるけど、決して止めているのではなくボクには脱力しているように感じる。そのとき下半身はゆっくりダウンスウィングを開始している。そして、左足に体重移動すると同時に脱力した腕がストーンと上から下りてきている感じ。当然インパクトでパンチを入れることもない。振っているように見えないけど、平均以上に飛ぶのはトップからの落下速度とシャフトのしなりを上手に使っているから。シャフトは、腕に力を入れれば入れるほど、しならなくなるっていうのがボクの持論。だけど、どうしても力ってやつは入りがち。でも、朱利ちゃんは、関節も筋肉も柔軟性があって素晴らしいスウィングだね」
「ありがとうございます。私も柔らかいスウィングをイメージして練習しているのでうれしいです」
水泳や可動域を広げるマシンなど、日ごろから柔軟性を意識したトレーニングも取り入れているそうだ。
スウィングのタイプは違うが、憧れているのは岩井明愛プロ。
「日本女子オープンの予選会で同組だったことがあるのですが、立ち居振る舞いがカッコよくって」
「岩井プロも朱利ちゃんと同じ中2のときに取材させてもらったんだ。それが、今や女子プロ界を牽引する存在だもんね~」
「私もそうなれるようがんばります!」
志の高さもゴルフの技術も全国屈指の朱利さん。「きっと、岩井プロのような素晴らしいプロになってくれるはず」。そう確信する武市であった。
週刊ゴルフダイジェスト2023年11月14日号より