【キミこそ王子だ】Vol.310 ケガの功名!? マキロイをイメージし続けた結果スウィングが劇的に進化した関西ジュニアチャンプ
雑巾王子こと武市悦宏プロが、全国の有望なジュニアゴルファーのもとを訪れ、大人ゴルファーにも役に立つゴルフのヒントを探る当連載。今回の王子候補は兵庫県出身、尼崎市立南武庫之荘中学校3年の山田龍之介くんだ。360度どの角度から見てもキレイなスウィングに武市もベタぼれ。その秘密は、意外にもイメージトレーニングにあった!!
今回の王子候補
山田 龍之介くん
やまだ・りゅうのすけ ●主な戦歴/2023関西ジュニア優勝 ●ベストスコア 65(宝塚GC旧コース) ●トレーニング/土・日サーキットトレーニング30分 ●練習/毎日300球2時間
今年「兵庫県ジュニアゴルフ選手権」、「関西ジュニアゴルフ選手権」で優勝し乗りに乗っている山田龍之介くん。
ゴルフを始めたのは小1。最初は月イチで父親と打ちっ放しに行く程度だったが、4年生のときに試合に出たことでやる気スイッチがON! 本格的にゴルフと向き合うようになった。
努力を重ね順風満帆な選手生活を送っていたが中2のときに試練が訪れる。
「腰椎分離症になって3カ月クラブを振れませんでした」
「成長期やスポーツをやっている子に多いって聞くね。周りに置いていかれないか不安だったでしょ」
「はい。でも結果的にはそのブランクがよかったと思っています」
と龍之介くん。聞くところによるとこれまで練習していた時間をイメージトレーニングに充てたという。
「マキロイ選手が好きなので、頭の中で彼になり切ってスウィングしていました」
「具体的にはどういうところに着目したの?」
「それまで自分はインパクトで頭が下がっていましたが、マキロイ選手は頭の上下動が全然ないので、そこを真似しようと思いました」
ドクターストップが解かれ、いざ“なり切りマキロイ”でスウィングしてみると……トップして球は大きく右へ。でも焦りはなかった。
「下がっていた頭を下げずに打ったら球に届かないのは当たり前なので気にせずやり続けようと思いました」
その結果、見事なスウィングに変身!
「上下はもちろん、左右にも軸はブレてない。グリップもキレイだし、アドレスもスクエア。動きもシンプルで、どの角度から見てもキレイな、いいスウィングだよね」と武市大絶賛。
もともと龍之介くんは、アプローチの練習量が多く、球をフェースに乗せるのがとても上手い。ドライバーもその延長線上で打っているので、バチーンと力で弾くというよりは、滑らかなフェースローテーションを使って打つタイプ。球筋は高弾道のドローで290ヤードは飛び、プロ顔負けである。
「龍之介くんは、地面を極端に蹴り上げるスウィングではなく、ヘッドを上手く走らせる技術がある。それはひと一倍キレがあり躍動感がある証拠で、体幹や両足内側の筋肉を使っているからなんだよね。力を出すというより、力を逃がさないスウィングと言っていいね。グリップもキレイだから、風やライの変化にも、難なく対応できるはず。まだ中3だけど、すでに世界で通用しそうなくらい完成度が高い」
「ありがとうございます」
龍之介くんの将来の夢はグリーンジャケットを着ることだ。
「それも今からイメージトレーニングしておいたら、きっと叶うよ!」
光る原石に大いに期待を寄せる武市であった。
週刊ゴルフダイジェスト2023年10月3日号より