【キミこそ王子だ】Vol.28 平田憲聖「右サイドがずーっと下がらない!」細身なのに飛ぶ大阪の中学生チャンプ
雑巾王子こと武市悦宏プロが、全国の有望なジュニアゴルファーのもとを訪れ、大人ゴルファーにも役に立つゴルフのヒントを探る当連載。今回、大阪のとある練習場で待ち合わせたのは平田憲聖くんだ。中学3年生ということで、表情にはまだまだあどけなさが残っているが、ゴルフは大人以上。そのギャップに一同びっくり!
今回の王子候補
平田 憲聖くん
ひらた・けんせい ●主な戦歴/2014大阪府中学校ゴルフ選手権優勝、2014関西ジュニアゴルフ5位 ●ベストスコア70(榊原ゴルフ倶楽部) ●トレーニング/ランニング4キロ ●練習/毎日250球
2000年生まれの平田くん。そのルックスはまさに現代人。手足が長いのなんの。若そうに見えるが武市ももう39歳。その差は歴然!
武市 平田くん、顔が小さくて足が長い! なに食べたらそうなるの?
平田 いや、普通にゴハンとか。
武市 ボクとそんなに身長変わらないのに、腰の位置が全然違うじゃん。
平田 そうですね(笑)。
武市 ゴルフはいつからやってるの?
平田 6歳のとき、おじいちゃんに勧められて。
武市 師匠はおじいちゃん?
平田 最初は近くにある練習場のプロに教えてもらって、いまは川西直樹プロに教わっています。
武市 初めの師匠からはどんなことを教わった?
平田 よく覚えてません。
武市 ズコッ。でも平田くん、いいスウィングしてる。ボク好み。
平田 どこがですか?
武市 ふふふ、ボクが注目したのはベルトのライン。後ろから見ると、スウィング中ずっとベルトのラ
インが右上がりなの。つまり、右サイドが下がらないってこと。
平田 ……。
武市 右サイドが下がらないってことは、球をすくい上げていない。上から叩けてる証拠だよ。体がそれだけ細いのに結構飛ぶのは、効率よく振っているからなんだ。
平田 自分の姿を後ろから見たことがないからピンとこないですが、普通のみなさんはどうなんですか?
武市 平田くんと逆。アドレスで真っ直ぐだったベルトのラインが、ダウンスウィングでほとんどの人が、右下がりになっちゃう。周りの人をみてごらん。
この日の取材は、大阪の練習場。武市と平田くんは一緒に、2階の打席をパトロール。練習しているみなさんのベルトのラインを後から、こっそりチェックさせてもらった。
平田 ほんとうですね。右がずっと高い人はいませんでした。
武市 でしょ。クラブは下からすくい上げるより、上から振り下ろしたほうが絶対に速く振れるからね。だから、右サイドは下がっちゃダメなの。意外と知られてないんだけど、実は基本のキ。とっても大切なポイントなんだ。
平田 はい。
武市 ゴルフに限らないよ。陸上だって上から下が基本だよ。
平田 えー、走るのもですか?
武市 そうそう。昔は陸上のトレーニングといえば、モモ上げが基本だったけど、いまそんな選手いないよ。脚を上げるよりも、振り下ろすほうにポイントが置かれてる。そのほうが地面の反発力を使えて、早く走れるんだ。ゴルフでいう踏み込みつてやつだよね。
平田 なるほど~意外と武市さんって物知りなんですね。
武市 それほどでもないよ~って、コラ(笑)。
その後もニヤニヤしながら、平田くんのスウィングをながめる武市。周りから見ると、ちょっぴり気持ち悪いが……。
武市 もうひとつ見つけちゃった、平田くんのいいところ。アドレスで左ひざがちょっと内側を向くけど、それは意識してるの?
平田 意識してません。内股ですか?
武市 うん。その内股加減がいい感じ。スウィング中、ずっと左足が絞られてるから、力が逃げない。要は無意識に左の壁ができてる。
平田 左の壁ですかー……。
武市 壁だけ作っても、体が開いたら意味ないけどね。平田くんはずっと左足のひざが内側を向いていて、体が開いてない。まさしく、ツイストって打ち方してる。
平田 ボクってツイストだったんですね。
武市 ユニット組む?
平田 えー。
武市 なんでよ、いいじゃん!
平田 人気出なさそうだし。
武市 だよね~ってコラ(笑)。じゃユニットはあきらめるけど、ツイスト打法はこのまま続けてね。
平田 はい、わかりました!
週刊ゴルフダイジェスト2015年6月2日号より