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【キミこそ王子だ】Vol.63 山下美夢有「フィニッシュの“ピタッと感”がハンパない! 前途が有望すぎる中2女子」

雑巾王子こと武市悦宏プロが、全国の有望なジュニアゴルファーのもとを訪れ、大人ゴルファーにも役に立つゴルフのヒントを探る当連載。今回の王女候補は山下美夢有さん。草木も芽吹きはじめ、春の気配を感じる今日この頃。花粉症に苦しんでいる人も多いだろうが、野生児・武市はそんなものとは無緑。今日もエンジン全開でジュニアとのトークを楽しんだ。

今回の王女候補

山下 美夢有さん

やました・みゆう ●主な戦歴/2015関西ジュニアゴルフ選手権12~14歳の部 優勝 ●ベストスコア67(阪奈cc) ●トレーニング/2キロのランニングやスクワットで下半身を強化 ●練習/1日230球


「山ピ~、なんか親近感湧くわ」

山下さんと会うなり、親しみを込めて山ピ~と呼ぶ武市。そして、彼女のクラブを見るや否や、やや輿奮気味に叫んだ。

「うぉ!! 山ピ~、アイアン短くしたの?」

「はい。0.5インチほど切りました」

「いいね~。この長さ、ボクにもぴったりだわ(笑)」

小柄な山下さんは身長に合わせて、アイアンを短く切って使っている。飛ばしを求め無理をするのではなく、体型に合ったものを使用する潔さに武市は感心した。

実際、山下さんは飛距離が出るタイプではない。しかしながら、ベストスコア67を中学1年の時にたたき出すほどの凄腕だ。


「中1でそれも女の子が60台を出せるのはスゴすぎでしょ!」

ということで、そのヒミツを探るべく、さっそくスウィングチェックを試みる武市だったが、その答えはすぐに見つかった。

「山ピーは“ぴったり刑事”やね」

「何ですかそれ?」

「ダウンタウンの“ぴったり刑事”知らんの? 刑事に扮した浜ちゃんが、“ぴったり”に何かをするっていうコントなんだけど」

「ははは。聞いたことないですぅ」

「ガーン!!」

先日40歳の誕生日を迎えた武市は、2001年生まれの山下さんにジェネレーションギャップを感じ凹む。まぁ、それは放っておくとして……、気になるのは、山下さんがなぜ“ぴったり刑事”かというと。

「山ピーは、どんなクラブでどんな球を打っても、フィニッシュが“ぴったり”決まるんだよね。まぁ、これまで出会ったジュニアも、みんな綺麗なフィニッシュなんだけど、山ピーの右に出る者はいないな。ピタッと加減がハンパない。意識的にやってるの?」

「いいえ、まったく」

「そうだろうねー。意識的に止めようと思っても、あそこまでぴったりは止まらないよ。よく、綺麗なフィニッシュを作ろう! というレッスンがあるけど、綺麗なフイニッシュ=正しいスウィングとは限らないからね。だけど、バランスのとれたスウィングをすれば、必ずフィニッシュはぴったり止まるはず」

そう、山下さんのすごさは、ぴったり止まるフィニッシュではなく、バランスのよいスウィングなのだ。

「ボクが見る限り、彼女はクラブや体がどう動けばいいか、完全に脳にインプットされてるね。クラブが体から大きく外れたり、上体が突っこんだり……そんなスウィングは絶対にしない。リズムも常に一定だから曲がらないし、再現性もバッグン! それはちょっと焦ったり怒ったりしただけで狂うものだから、山ピーはメンタルも相当強いと思うよ」と褒めまくる武市。

いよいよ、春のゴルフシーズン到来! これから続々とジュニアの大会も開催されるので、山下さんの活躍に注目したい。

週刊ゴルフダイジェスト2016年3月22日号より