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またしてもルール疑惑のP・リード。批判をものともせず5打差圧勝の鬼メンタルに脱帽

今年の全米オープンの舞台、トーリーパインズGCで行われたファーマーズインシュランスオープンでパトリック・リードが5打差の圧勝。だが、またも議論が巻き起こってしまった。

3日目の10番ホール。リードの打球は左に曲がり、深いラフに。近くにいたマーシャルにボールが跳ねたかを確認し「跳ねたのは見ていない」と言われると、ボールをすぐさま拾い、芝に手を突っ込んでピッチマークに埋まっていたかを確認する仕草を見せた。

19 年に改訂されたルールでは、自身のピッチマークにボールが埋まった場合、ラフでも無罰で救済を受けられる。つまり今回のように打球がラフに落ちた場合でも、跳ねずにその場に埋まったとすれば、このルールが適用される。

ところがテレビ中継では、ボールがラフで一度跳ねて止まった様子が映し出され、解説のニック・ファルドが「これはおかしい」と疑問視した。

リードは先にボールを拾ってから競技委員を呼び「ほら、ここに埋まっていたんだよ」と説明し、無罰で救済を受けた。この処置にツアー側もリードの非は認めず、本人も「競技委員の裁定に従った」と主張。だがネットでは「インチキが得意だもんね」「ルール違反」と大騒ぎに。敷地内の家から観戦していた数少ないギャラリーからも「チーター(嘘つき)」とヤジが飛んだ。

それでも外野の声を気にせず「困難があってもそれに打ち勝てるのが自分の強み」と胸を張ったリード。

これほど炎上するのは、学生時代からスコアをごまかす常習犯だったと言われたり、プロになってからも「ライを改善したのを見た」と関係者が証言したり、きわめつきはタイガー主宰の試合でバンカーにつかまりボールの後ろの砂を素振りで払い2打罰を科せられるなどの“前科”があるから。

「僕ならボールを拾う前に競技委員を呼びビデオ判定を待ちます。彼はおそらく正しいんでしょう。でも、選手たちはいろいろ言っていますよ」とはザンダー・シャウフェレ。

しかし“いろいろ”言われようが圧勝する鋼のメンタル。リード、さまざまな面から恐るべし。

勝てば官軍!?(写真は2020年WGCメキシコ選手権。PHOTO/Tadashi Anezaki)

<参考>規則16.3 地面にくい込んでいる球
球が自らのピッチマークの中にあり、球の一部が地表面以下にある場合、球は地面に「くい込んでいる」と認められる。球がジェネラルエリアにくい込んでいる場合、罰なしで救済することができる

※「ジェネラルエリア」はティーイングエリア、バンカー、ペナルティーエリア、パッティンググリーンを除くコース上のすべてのエリアを指す。そのためラフもジェネラルエリアに含まれる

週刊ゴルフダイジェスト2021年2月23日号より