【ゴルフはつづくよどこまでも】Vol.109「ごくろうさんず」ラストライブ
高松志門の一番弟子として、感性を重んじるゴルフで長く活躍を続ける奥田靖己。今週もゴルフの奥深い世界へと足を踏み入れていく。
PHOTO/Hiroshi Yatabe
シニアツアー最終戦の「いわさき白露シニアゴルフトーナメント」の前夜祭の会場で、余興で「ごくろうさんず」の演奏をやりました。
このバンドは、僕が51歳くらいのときに、加瀬秀樹、髙見和宏、芹澤信雄と飲みに行き、「なんか僕たちでシニアツアーを盛り上げることができんやろうか」いう話をしておったとき、バンドでもしようかいうことになったのが始まりです。
高松厚が昔、それで生計を立てていたプロのドラマーやったので、彼を入れてリーダーにしよういうことになり、バンド名は僕ら1959年、1960年生まれにちなんで「高松厚とごくろうさんず」になったんです。
最終的には、初期の加瀬、髙見、芹澤、奥田、高松に加え、中西信正、杉原敏一を加えた7人メンバーでやってきました。プロのバンドなら上手い演奏が聴けるんやけど、まあプロゴルファーがやるんやからと、皆さん下手でも面白がって見て聴いてくれました。
僕らがやると「アイツ失敗したな」いうんがすぐにわかりますが、プロは失敗したようには見せない、その点はゴルフと一緒です。
まあ学芸会の出しもんみたいなもんやったと思いますけど、ツアー以外のプロアマに呼ばれてやったりしたこともあって、一番多かったときは年に5~6回の出演オファーがありました。
結成当初はシード選手やったメンバーですが、最近はシードを失う者が多くなり、主催者さんから推薦を頂くことも増えてきました。応援しようと思って始めたことが、逆に応援されるような状況になってきていたので、今年、バンドは解散したんです。
でも最終戦で、最後にもう一回やってほしいとの要望があったので、お礼かたがた恩返しの気持ちから、演奏することになったんですが、最後に皆さんの満面の笑みを見ることができて本当によかったと思っています。
今後ですが、小山内護くんは2年前からギターを始め、僕の後を継ぐとか言うてくれてますし、篠崎紀夫くんは学生時代は吹奏楽部でトランペットが吹ける。今度そういうオファーがあったら、シニアツアーを盛り上げるために、おまえらが中心になって頑張ってくれと言うておきました。
「失敗しても、そう見せないのがプロですわ」。再結成に期待!
奥田靖己
おくだせいき。1960年、大阪生まれ。93年日本オープンなど6勝。シニアで2勝。ゴルフの侘び寂び、温故知新を追求する
週刊ゴルフダイジェスト2022年12月20日号より